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2013 年度 実施状況報告書

MYCNがん遺伝子と協調的表現型を示す遺伝子の探索~新規神経芽腫治療法をめざして

研究課題

研究課題/領域番号 24590376
研究機関愛知県がんセンター(研究所)

研究代表者

村上 優子 (渡並 優子)  愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 主任研究員 (70405174)

研究分担者 門松 健治  名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80204519)
キーワード神経芽腫 / 合成致死 / DNA損傷応答 / MYCN
研究概要

前年度までに行った、1次スクリーニングで得られた候補遺伝子群から確実に表現型を示す遺伝子を確率よく選び出すための手段の開発の一端を担った。具体的には、予後データを用いて、全遺伝子の中から合成致死表現型を示す二つの遺伝子の組み合わせを予測するアルゴリズムの開発に加わった。この成果をまとめたものはBioinformatics誌に掲載された(Bioinformatics, 29 (23) : 3053-9, 2013)。
また、前年度に引き続きMYCNとsynergisticな表現型を示す候補遺伝子の一つ、SMC2の機能解析を行った。具体的には、1)MYCN過剰発現細胞およびコントロール細胞においてコントロール及びSMC2をノックダウンするshRNAを感染させ、遺伝子発現の変化をRNA-seqで解析した。2)MYCNとSMC2のゲノム上の結合位置についてもChIP-seqを用いて解析を試みた。3)NBS1のE-Box(MYCN結合配列)にはSMC2も結合していることをクロマチン免疫沈降法で示した。4)SMC2および同じくコンデンシンサブユニットの一つSMC4がMYCNと結合していることをpull downアッセイで調べた。5)SMC2をノックダウンすることでコンデンシン複合体自体が不安定になることを示した。これらの結果を前年度までの成果とともにまとめたものは、Cell Cycle誌に掲載された(Cell Cycle, 13 (7) : 1115-31, 2014)。
さらに、MYCNとsynergisticな表現型を示すもう一つの遺伝子としてSGO1を同定しており、その分子機構の解析に取り組んだ。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

スクリーニングに関しては、候補遺伝子群を選別するためにWeb上で公開されている癌患者の発現アレイデータ及び予後データを用いて合成致死遺伝子の組み合わせを予測する手法の開発を試みた。また、MYCNとsynergisticな表現型を示す、コンデンシン複合体のサブユニットの一つであるSMC2がMYCNと協調してDNA損傷応答遺伝子のいくつかの転写を制御しているということを明らかにした。
それらの成果はそれぞれ論文化された(Bioinformatics, 29 (23) : 3053-9, 2013)、(Cell Cycle, 13 (7) : 1115-31, 2014)。
以上のことから、申請書の計画通りほぼ進行していると判断した。

今後の研究の推進方策

最終年度であるため、MYCNとSGO1がsynergisticな表現型を示すことの分子機構の解析に絞り論文化を目指す。具体的には、M期において姉妹染色体が適正に分配されるように、SGO1はPP2A(脱リン酸化酵素)と協調してセントロメア領域のコヒーシンの乖離を防いでいるが、MYCNとsynergisticな表現型を示す際にもPP2Aやコヒーシンが関与しているかどうか検証する。また、MYCN増幅型の神経芽腫細胞ではSGO1をノックダウンするとDNA損傷が誘導されることを我々は確認しているが、その際に損傷チェックポイントが正常に働いているかどうかについても検討する。さらに、MYC過剰発現細胞ではCDK2をノックダウンすることで細胞老化を誘導できるという報告があるため、SGO1とCDK2の関連についても検討予定である。

次年度の研究費の使用計画

合成致死遺伝子の組み合わせを見つけるためのアルゴリズム開発については、実際に実験をすることが少なかった。また、MYCNとSMC2がsynergisticな表現型を示す機構についてまとめた論文については、今年度の半分位を投稿に費やし、最終的にCell Cycle誌に掲載受理された際も追加実験を要求されなかった。MYCNとSGO1に関する機構の解析については実験を行っていたが、以上のような理由より、例年に比べて助成金の使用が一時的に少ない時期が生じ、次年度使用額が生じた。
MYCNとSMC2の関係を明らかにした論文(Cell Cycle, 13 (7) : 1115-31, 2014)に関する論文掲載料に使用する。また、その成果を発表するためにANR2014(Advances in Neuroblastoma Research Congress 2014)に参加するため、その参加費及び渡航費、旅費に使用する。
また、MYCNとSGO1がSynergisticな表現型を示す分子機構を解析するため、一般試薬、抗体、培地などの購入に用いる。さらにその成果を論文化するために投稿料及び掲載料として使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Inactivation of SMC2 shows a synergistic lethal response in MYCN-amplified neuroblastoma cells.2014

    • 著者名/発表者名
      3.Murakami-Tonami Y, Kishida S, Takeuchi I, Katou Y, Maris JM, Ichikawa H, Kondo Y, Sekido Y, Shirahige K, Murakami H, Kadomatsu K
    • 雑誌名

      Cell Cycle

      巻: 13 ページ: 1115-1131

    • DOI

      10.4161/cc.27983

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Discovering Combinatorial Interactions in Survival Data2013

    • 著者名/発表者名
      duVerle D, Takeuchi I, Murakami-Tonami Y, Kadomatsu K, Tsuda K
    • 雑誌名

      Bioinformatics

      巻: 29 ページ: 3053-3059

    • DOI

      10.1093/bioinformatics/btt532

    • 査読あり
  • [学会発表] SMC2はDNA損傷修復に関連する遺伝子の転写を制御する2013

    • 著者名/発表者名
      村上(渡並)優子
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(神戸市)
    • 年月日
      20131203-20131206
  • [学会発表] Inactivation of Smc2 shows synergistic lethal response to MYCN amplification by regulating DNA damage response genes transcription in neuroblastoma cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Yuko Murakami-Tonami
    • 学会等名
      EMBO conference (The DNA damage response in cell physiology and disease)
    • 発表場所
      Cape Sounio(アテネ市、ギリシア)
    • 年月日
      20131006-20131012

URL: 

公開日: 2015-05-28   更新日: 2015-06-16  

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