研究実績の概要 |
神経芽腫の原因遺伝子の一つであるMYCNの増幅とsynergisticな表現型を示す遺伝子として前年度までSMC2の機能解析を行い、論文発表を行ったが、引き続き同じ表現型を示す候補遺伝子としてSGO1を同定していたため、その解析を今年度は進めた。 また、今年度は本研究課題に関連する、細胞周期の制御因子wee1の減数分裂時の転写制御について筆頭著者として(Cell Cycle, 13 (18) : 2853-2858, 2014)、共著者として神経芽腫の予後因子及び分化制御因子PES1の機能解析について論文報告を行った(Cancer Science, 106 (3) 237-43, 2015)。 研究期間全体としては、1)当初の目的通りゲノムワイドのshRNAライブラリーを用い、MYCNが過剰発現している細胞及びコントロール細胞において、MYCNの過剰発現と合成致死表現型を示すと考えられる遺伝子をスクリーニングした、2)MYCNとsynergisticな表現型を示す遺伝子として、染色体の凝集に関わるSMC2を同定し、MYCNの過剰発現とSMC2のノックダウンにより細胞死が起こる機構として、SMC2がMYCNと協同しDNA修復因子の転写制御をしているという新規機能を明らかとした(Cell Cycle, 13 (7) : 1115-31, 2014)、3)1次スクリーニングで得られた候補遺伝子群から確実に表現型を示す遺伝子を確率よく選び出すための手段の開発の一端を担った(Bioinformatics, 29 (23) : 3053-59, 2013)、4)SMC2と同じくMYCNの過剰発現とsynergisticな表現型を示す遺伝子としてSGO1を同定し、その機能解析を行った。これに関しては現在論文投稿の準備を進めている。
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