本研究では、小児悪性固形腫瘍である神経芽腫のモデル、MYCNトランスジェニックマウスに基づいてこれまでに集積した遺伝子発現等の網羅的解析結果を用いて、神経芽腫の発生に関わる因子を同定することを目的とした。まず、初期の神経芽腫細胞において高発現する遺伝子として同定したNeuroD1について、既に神経芽腫の原因遺伝子の一つとして知られているALKの転写を直接誘導することで、細胞増殖を促進していることを示した。また、同じく初期の神経芽腫細胞で高発現する遺伝子H1FXを同定し、これがマウスの発生過程において未分化な神経芽細胞で特異的に強く発現し、分化に伴って消失することを見出した。
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