Wnt5aシグナルと炎症病態との関連が示唆されているが、その作用機序は依然として不明である。そこで、薬剤誘発性腸管炎症モデルに、Wnt5aとその受容体Ror2の種々のコンディショナルノックアウト(cKO)マウスを導入し、腸管炎症病態におけるWnt5aシグナルの機能を解析した。その結果、炎症時に繊維芽細胞から分泌されたWnt5aが樹状細胞に作用することでIFN-γシグナルの応答性が増強し、樹状細胞のIL-12産生が促進することを見出した。IL-12はTh1細胞への分化を誘導することから、Wnt5a-Ror2シグナルがTh1応答を促進して腸管炎症病態の増悪化に関与することが明らかになった。
|