腫瘍形成には、腫瘍細胞の遺伝子変異に加え、周囲の微小環境も大きく関与する。低分子量GTPaseのRasとRapのエフェクターであるホスホリパーゼCε(PLCε)は、腫瘍微小環境中での炎症促進を介して腫瘍形成に役割を果たすが、その詳細な分子機構についてはよくわかっていない。本研究では、PLCεがIκBの持続的な不活性化を介して炎症関連遺伝子の発現を上昇させることを示す。また、in vitroでの活性化型変異体H-Rasの過剰発現による細胞生存が、培地からの亜鉛イオンとグルコースの供給に影響を受けることも示す。これらの因子は共にin vivoにおいて腫瘍微小環境中から供給されることが知られている。
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