研究課題
本研究では研究代表者らが独自に見出しているシグナル伝達系であるチロシンホスファターゼSAP-1/pp90系や膜型分子間シグナルCD47-SIRPα系を切り口として炎症性腸疾患(IBD)の発症機構の理解を目標としている。そこで本年度は以下(1)、(2)に示す研究を進めた。さらに以下(3)に示すように、腸管免疫やIBD発症との関わりが深いと考えられるTSC-mTOR系についても解析を進めた。(1)SAP-1/pp90系について:pp90KOマウス由来腸上皮細胞を用いたマイクロアレー解析から、pp90KOマウス由来腸上皮細胞では腸管免疫制御に関わるとされる複数の抗菌ペプチドの遺伝子発現が低下する傾向であることを確認した。また、SAP-1/pp90を介したケモカイン産生には、MAPK系が関与することを見出した。(2)CD47-SIRPα系について:樹状細胞特異的CD47コンディショナルノックアウト(cKO)マウスの作製・解析を行った。これまでにCD47のリガンドであるSIRPαのノックアウトマウスではCD11cを強発現する樹状細胞(cDC)が脾臓において減少することが知られているが、研究代表者はCD47 cKOマウスの脾臓においてもcDCが減少していることを見出した。解析の途中であryため更なる検証が必要ではあるが、樹状細胞上のCD47は樹状細胞の恒常性を維持する機能を有する可能性が示唆された。(3)TSC-mTOR系について:腸内細菌叢と腸炎発症には深い関わりがあると考えられている。そこで腸管免疫や腸炎発症との関わりが深いと考えられるTSC-mTOR系と腸内細菌叢の関係性を調べる為に野生型マウスに抗生剤を投与することによって腸内細菌を除去したマウスの腸上皮細胞でのmTORシグナルについて解析を行った。その結果、抗生剤投与マウスではmTORシグナルが顕著に減少することを見出した。
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Genes Cells
巻: - ページ: in Press
10.1111/gtc.12238
http://www.med.kobe-u.ac.jp/tougou/signal/Home.html