腸管免疫は、腸上皮細胞と免疫細胞により制御されているが、その分子機構の理解は十分ではない。本研究課題では、研究代表者が独自に見出しているシグナル系であるSAP-1/pp90系やCD47-SIRPα系を切り口として、腸上皮細胞と免疫細胞による腸管免疫のダブルレギュレーション機構につき研究を行った。その結果、腸上皮細胞に発現するpp90はチロシンリン酸化によりケモカイン産生を制御することを見出した。また、免疫細胞である樹状細胞におけるSIRPαの発現が、樹状細胞自身の恒常性の維持に重要であることも明らかにし、これらの制御機構の破綻が炎症性腸疾患の発症に関与することが示唆された。
|