研究課題
本研究課題では、血管内皮細胞(EC)のHIFシグナルがもたらす血管構築細胞の機能的・形態的変化についてその分子機構の解明を目指す。具体的には、独自開発のEC特異的HIF-1α/β遺伝子欠失およびHIF-1α/HIF-2α過剰発現マウスにおける肺高血圧症(PH)モデルを用いた血管再構築の形態学的・分子機能学的解析を進める。そのために、ECおよび血管平滑筋細胞(SMC)を可視化標識したレポーターマウスを確立して生体レベルでの細胞系譜別形態・機能の評価系を構築する。また、EC特異的HIF過剰発現マウスのPHモデルを用いて、病態モデルにおけるECのHIFシグナルネットワークの解析を通してECのHIFシグナルを介する血管再構築に必須な標的分子群を抽出してその詳細な分子機構を明らかにする。平成26年度は、引き続き作製したTagを搭載したHIF過剰発現マウスの表現型解析を進めるとともに、低酸素および薬剤(monocrotalineあるいはSU5416)を用いたマウス肺高血圧症モデル動物の解析を施行した。まず酸素濃度10%低酸素環境下で4週間飼育した本変異マウスの解析を行ったところ対照群に比較して右室左室心筋重量比の解析において有意な変化は認められなかった。EC機能障害を伴う薬物投与モデルも追加作製して現在施行中である。また、長期間低酸素条件に暴露された野生型マウスより肺組織のECをソーティングにより単離して、長期低酸素環境に暴露されることによるECの形質変化について網羅的遺伝子解析を施行し現在解析中である。
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