研究課題
今年度は乳癌を含む各種悪性腫瘍についてARID1A発現不全が、どのように腫瘍進行に関わるのかを臨床病理学的にも検討した。その結果、驚くべきことにARID1Aの完全発現抑制は、まったく発現抑制がない場合と同じく予後と関係しないことが明らかになった。多変量解析で20%ほどのARID1A発現抑制が最も予後不良になることが示唆され、このことを確かめるために、各種培養癌細胞を用いて、約20%の発現抑制(タンパク質レベル)がかかるように条件を設定し、どのような分子メカニズムが影響を受けるのかを網羅的遺伝子解析で検討した。その結果、ARID1Aの不完全発現抑制でras経路が、もっとも影響を受けることが明らかになった。具体的には網羅的遺伝子解析(Human 8x60K Ver.2.0 microarray)で、ARID1A不完全抑制(20%抑制)で発現が低下する遺伝子群としてRas association (RalGDS/AF-6) domain family member 1、RASSF10、RASGEF1A、HRAS-like suppressor 2 (HRASLS2)が、またARID1A不完全抑制(20%抑制)で発現が増加する遺伝子としてRAB11FIP1(also known as RCP)が、明らかになった。すなわち、ARID1A不完全抑制でras系列分子が活性化されることが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
国内外に先駆けてARID1A の不完全発現抑制が、腫瘍予後不良因子であることを見出し、さらに、その不完全発現抑制でras 経路が活性化されることを明らかにできた。
どのような腫瘍がARID1A 不完全発現と関連するのか、また、大命題として、なぜ完全発現抑制は、腫瘍進展に関係しないのか、特にras 経路との関係について明らかにしていく。
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