体内に微生物が侵入すると、白血球の一種である好中球が 微生物の侵入部位(炎症部位)へ素早く遊走して貪食・殺菌を行う。この細胞の遊走過程を「ケモタキシス(走化性)」と呼ぶ。正しくケモタキシスするためには「方向の決定」と「運動性の亢進」が必要であるが、「遊走方向」を制御する機構については不明な点が多い。好中球の主な走化性因子の受容体はGiと共役する7回膜貫通型の受容体(GPCR)である。本研究では、走化性因子により活性化したGiシグナルにより、遊走好中球の前方にリクルートされたmInsc蛋白質が、進化的に保存されたPar蛋白質複合体を介して好中球の遊走方向を制御する機構を明らかにした。
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