研究課題/領域番号 |
24590387
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
内海 健 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80253798)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / p32 / 酸化的リン酸化 / ノックアウトマウス |
研究概要 |
ミトコンドリアの酸化的リン酸化に関与するp32分子は疾患との関連が示唆されているが、その詳細な分子機構解析は皆無である。本研究ではミトコンドリア蛋白p32の各疾患との関わりについてコンディショナルノックアウトマウスの作製と、その機能解析、およびミトコンドリアエネルギー代謝とp32の機能連関を行うことでRNA chaperon p32の細胞、組織、個体レベルでの分子基盤について明らかにすることを目的とした。今年度はp32の分子機能の解明として精製p32によるRNA結合、翻訳調節、相互作用する分子の同定と機能連関を明らかにした。p32機能異常による細胞の反応としてp32-/-細胞の細胞質翻訳活性低下、Oncosisによる細胞死の増大を観察した。 作製したノックアウト細胞の増殖、形態を確認しミトコンドリアでの機能解析を進めた。ノックアウト細胞のミトコンドリア形態を、免疫染色(Mito Tracker Red、p32)、電子顕微鏡で確認した。ミトコンドリアでコードされているRNA量、DNA量をreal time PCRで定量したところ変化はなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度はp32コンディションノックアウトマウスの作製を行うことを目的に Cre/ loxPシステムを用いた部位特異的ノックアウトマウスを作製してきた。ノックアウトマウスの解析には、組織学的解析と行動学的方法を考えている。全身ノックアウトマウスは胎生致死よりマウス胎仔からp32ノックアウト細胞を作製し、分子生物学的なアプローチからミトコンドリアの機能解析を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
ミトコンドリア内代謝を変化させる条件を確立する。すなわち、窒素飢餓、ミトコンドリア膜電位消失(CCCP)によりミトコンドリアDNA (mtDNA), mtRNA, proteinの発現レベルがどのように変化するか、Real time PCR , western blotにより評価する。さらに RNAシャペロンp32がアセチル化するかアセチルリジン抗体を用いて検討する。すでに、p32に関してはK89/K93がアセチル化することをpreliminaryに観察している このK89/K93のアセチル化に対する抗体も作成しておりp32のアセチル化、脱アセチル化の機序を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
コンディショナル・ノックアウトマウスの解析を続ける。特に、血管内皮細胞特異的ノックアウトマウスの解析を行う。動脈硬化との関連性を検証する。 エネルギー代謝との関連ではSirt3がp32の脱アセチル化を直接担うのか検討する。そのためにin vitro, in vivo の系で評価する。具体的には、Sirt3 過剰発現 ,あるいはSirt3 siRNA導入による発現低下の系においてp32のアセチル化のレベルをアセチルリジン抗体、およびp32アセチルリジン抗体を用いて評価する。
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