研究課題
ミトコンドリアエネルギー代謝に必須の蛋白p32の分子、細胞レベルでの機能解析、さらに種々の疾患への関与を解明するため、p32コンディショナルノックアウトマウスの作製、解析を行うことを目的とし、研究を遂行した。さらに、アセチル化翻訳後修飾の解析からミトコンドリア代謝制御を理解し、いかにアセチル化がp32の翻訳制御に関与するのかを明らかにした。(1)Cre/loxPシステムを用いて脳特異的p32ノックアウトマウスを作製したところ生後8週齢で致死。(2)作製したノックアウト細胞の増殖は増殖抑制の傾向にあった。ミトコンドリアでコードされているタンパク質(coxI、coxII、ND2)の発現量は減少していた。膜電位は減少し、ATP産生量も減少していた。(3)細胞質の翻訳機構の変化をp32ノックアウト細胞と野生型の細胞で比較検討したところ翻訳活性化に関与する、S6K, Ribosomal p70S6Kのリン酸化の減少を認めた。 (4) RNAシャペロンp32がアセチル化するかアセチルリジン抗体を用いて検討しK89/K93がアセチル化することを観察した。 このK89/K93のアセチル化に対する抗体も作成しp32のアセチル化、脱アセチル化の機序を解析する。リジン残基に変異を入れるとp32のRNA結合活性、機能とも低下していることが認められた。p32のアセチル化、脱アセチル化がそのRNA結合能に変化を与えるかをRNAゲルシフトアッセイにより検討し、アセチル化による機能低下を認めた。
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Journal of Cell Science
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