研究課題
2)乳腺上皮細胞の増殖、分化に及ぼす「転写共役型DNA傷害」の影響平成24年度に解析したように、乳癌細胞株MCF7細胞でGANPの発現を低下させ、エストロゲンで刺激すると、コントロール細胞に比べてDNA傷害が過剰に誘導される。GANPノックダウン細胞は増殖速度が低下し、TUNEL陽性細胞が増加した。このことが乳腺特異的GANP欠損マウスで認める乳腺組織構築異常と関連することが強く示唆された。平成26年度に所属機関を異動したことで、遺伝子改変マウスを用いた研究を予定通り遂行することができず、乳腺特異的PCID2欠損マウスにおける乳腺の組織解析をさらに進めることができなかった。3)GANPが制御する乳癌発症に関与する分子(群)の確定GANPが制御する分子として乳癌発症の観点からBRCA2に着目し、GANPがBRCA2を転写レベルで制御していることを確認した。GANP欠損はBRCA2 mRNAの核外輸送に異常を認めず、どのように調節しているかは今後の解析が必要である。予備実験では、GANPがBRCA2 mRNAの安定化に関わるという結果が得られている。4)ヒト乳癌臨床検体におけるGANPタンパク発限低下の原因の探索抗GANP抗体を用いた熊本大学乳腺内分泌外科416症例の免疫組織染色の結果、GANPが独立予後因子であることが明らかとなった。また40例の乳癌組織を解析したところ、GANP mRNAのスプライシング異常を約25%で認めた。遺伝子転写に伴うスプライシング異常がGANPタンパク発現低下の一因として考えられた。
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