乳癌の大部分を占める非遺伝性散発性乳癌の発症には、エストロゲンの長期暴露が関与する。乳腺上皮にエストロゲン刺激が加わるとDNA傷害が誘導されるが、ヒト乳癌細胞株MCF7においてGANPの発現を低下させるとエストロゲン刺激後に過剰なDNA傷害を誘導した。このことが乳腺特異的GANP欠損マウスで見られる乳腺構築異常と密接に関わると考えられ、乳腺上皮におけるGANPの発現は乳癌発症に抑制的に働くことが示唆された。実際、ヒト非遺伝性散発性乳癌416例の検体を用いてGANPの発現低下が予後不良因子となることを証明した。
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