本研究では、申請者らが同定した細胞接着斑-核シャトル蛋白質HIC-5が浮遊状態にある細胞特異的にその増殖を停止させる分子機構を明らかにした。接着喪失により、HIC-5はその局在を核マトリックスへと変化させ、転写因子KLF4のDNAへの結合を促すことでp21cip1遺伝子を発現誘導する結果、増殖を停止させていた。 また、HIC-5機能とがん細胞の増殖・転移能との関連について検討し、HIC-5ががん転移を抑制する結果を得た。がん細胞ではHIC-5によるp21cip1誘導は起こらなかったが、別途HIC-5はTGFb受容体を介してMMP-9発現を抑制することで、転移を抑制的に制御することを明らかにした。
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