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2012 年度 実施状況報告書

硫化水素産生不全を伴う硫黄転移酵素ノックアウトマウスに関する網羅的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24590392
研究種目

基盤研究(C)

研究機関日本医科大学

研究代表者

永原 則之  日本医科大学, 医学部, 准教授 (10208043)

研究分担者 伊藤 隆明  熊本大学, その他の研究科, 教授 (70168392)
永野 昌俊  日本医科大学, 医学部, 講師 (60271350)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードノックアウトマウス / メルカプトピルビン酸硫黄転移酵素 / メルカプト乳酸システイン尿症 / 硫化水素 / 硫黄酸化物 / 抗酸化作用 / 不安行動
研究概要

メルカプトピルビン酸硫黄転移酵素ノックアウト(KO)マウス(null、ホモ型)を知能発達遅延を伴う遺伝疾患・メルカプと乳酸システイン尿症(MCDU)のモデルとして作成した。当初はヘテロ型同士で交配を行い、5ヶ月間繁殖を試みたが、♂のホモ型マウスは0.25匹/1組の親の割合で極めて繁殖の効率が悪いため、再度マウスの作成ストラテジーを変更したが同様の結果であった。そこでホモ型同士で交配をおこない、24年末に予備実験を始められた。一方、大学の動物センターにおいて、ヘテロ同士の交配を行い繁殖を試みている。
24年は1)ノックアウトマウスを安定的に繁殖すること(永原・秋元)、2)病理形態的研究を進めること(伊藤)、3)行動学的研究を進めること(永野)、4)医化学的研究を進めること(永原)を目標に研究を行った。ノックアウトマウスを安定的に繁殖させるまでに時間を費やしたため、医化学的研究は次年度に行う。
病理形態的研究は全身の臓器において行われた。ヘテロKOマウス(Cre/loxP+)の♂において低精子形成が確認されたが、ホモKOマウス(Cre/loxP-)においては、形態的異常を認めなかった。熊本大学・発生研脳分野・嶋村教授のご協力を得てKOマウスの脳、特に海馬を中心に詳細な観察を行った結果、異常は認めなかった。
行動学的研究では、KOマウスに有意に不安行動が認められた。知能発達遅延を伴うMCDUと同様に高度脳機能障害が認められた事は、疾患モデルマウスとして意義が大きいものと考える。
以上、MST欠損により高度脳機能障害が認めらた。脳の形態に異常が認められないため、レセプターあるいは神経の機能異常が考えられる。解明は次年度以降の課題にする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

24年は4つの課題を設定したが、医化学的研究は、KOマウスの作成法を見直したことと、研究室を移籍したため分析機器に不備が生じたため、医化学的研究は次年度以降にせざるを得なかった。
1)KOマウスを安定的に繁殖する計画に関してはほぼ達成したが、ヘテロKOマウス同士の交配による繁殖は軌道に乗っていない。
2)病理形態的研究を進める計画は達成した。初頭に計画していた通常の形態観察の他、特殊染色を用いた脳の形態観察も行った。
3)行動学的研究においては、不安行動という高度脳機能障害が認めらた。MCDUの知能発達遅延との関連およびその病態の解明は今後の課題であるが、MCDUモデルマウスの作成は成功したと考える。

今後の研究の推進方策

KOマウスに不安行動という高度脳機能障害が認めらた。MCDUの知能発達遅延との関連および不安行動の発症機序を解明することを今後の研究方針とする。行動学的研究として具体的には、脳の各部位におけるモノアミン(ノルエピネフリン、ドーパミン、セロトニン)の測定やセロトニンレセプターの定量など、医化学的、薬理学的分析を分析機器の整備を行いつつ進めていく。また、行動異常、さらに記憶異常に関しても実験を行う。さらに小脳の機能にも言及する。
また我々はMSTが周産期に発現が多くなることを見い出した。今後は発生時期を考慮してレセプターの発現に関する研究を展開する。
MCDUの病態として、MSTの抗酸化作用のみならず、硫化水素および硫黄酸化物の関与が考えられるため、組織内の硫化水素および硫黄酸化物の定量が必須である。現在、これらの超微量定量法の開発を行っている。この研究の成果を合わせ、MST欠損であるMCDUの病態解明を推進する。

次年度の研究費の使用計画

KOマウスの交配と繁殖ならびに本マウスのES細胞などの維持費が研究費の大部分を占めており、70万円を予定する(昨年度予算の残額から18万円使用)。昨年度受理された論文別冊代として、今年度、支払いが決定しており、昨年度の予算の残額から7万円使用する。また、今年度に投稿する論文に18万円を予定している。寮費として、アメリカへ国際学会出張な等に5万円、試薬代として万円を当てる。また、2名の共同研究者に研究費として不十分であるが19万円(昨年度予算の残額から5万円使用)を当てた。
翌年度以降は次年度と同様の予算配分をしているが、他に細胞あるいは器官培養に要する費用を考慮する。組織内の硫化水素および硫黄酸化物の微量定量分析の開発に多大な費用が必要である。本研究費の一部を当てる予定であるが、他に研究費の獲得が必要であると考える。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Regulation of mercaptopyruvate sulfurtransferase activity via intrasubunit and intersubunit redox-sensing switches,2012

    • 著者名/発表者名
      Nagahara N
    • 雑誌名

      Antioxid Redox Signal

      巻: 19 ページ: 1-10

    • 査読あり
  • [学会発表] MST knockout mouse production and comprehensive analysis (3)

    • 著者名/発表者名
      Nagahara N, Nagano M, Ito T, Suzuki H
    • 学会等名
      第85回日本生化学会大会
    • 発表場所
      福岡
  • [学会発表] Regulation of H2S production by 3-mercaptopyruvate sulfurtransferase

    • 著者名/発表者名
      Kimura H, Mikami Y, Shibuya N, Kimura Y, Ogasawara Y, Nagahara N
    • 学会等名
      第85回日本生化学会大会
    • 発表場所
      福岡
  • [図書] Advances in Chemistry Research2012

    • 著者名/発表者名
      Nagahara N
    • 総ページ数
      243-255
    • 出版者
      Nova Science Publishers, Inc.
  • [図書] Recent Advances in Medicinal Chemistry2012

    • 著者名/発表者名
      Nagahara N
    • 総ページ数
      76-92
    • 出版者
      Bentham Science Publishers

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公開日: 2014-07-24  

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