研究課題
キノリン酸脳内投与による反応性アストロサイトの誘導機構の解明申請者らは免疫組織学的解析及び生化学的解析で示すように神経毒キノリン酸のマウス海馬内投与により、神経細胞の傷害が引き金となって、まず活性化ミクログリア(Iba1陽性細胞)が約1週間後に動員され、それに引き続きアミロイド前駆体蛋白(APP)を発現した反応性アストロサイト(GFAP陽性細胞)が誘導されることを報告した(アミノ酸研究、8:25-34,2014)。活性化ミクログリアはTNF-αやIL-6等の炎症性サイトカインを含む炎症性メディエーターを産生し、ある種の炎症性サイトカインは静止型アストロサイトを刺激し反応性アストロサイトに変換することが知られている。従って、キノリン酸投与で動員される活性化ミクログリアがこれらのメディエーターを産生して反応性アストロサイトを誘導していると予想されことから、キノリン酸投与後経時的に海馬組織を採取し増加するサイトカインの同定をBio-Plexアッセイで試みたが、限界以下で同定に至らなかった。1回の分析に供するキノリン酸投与後の海馬組織量を1匹から10匹に増加して再検討することとし、キノリン酸の脳内投与を継続し、サンプルを凍結保存した。研究期間内に十分なサンプル数が収集できたので、平成27年度に分析を予定していている。反応性アストロサイトのAβ産生機構の解明マウス胎児脳から単離純化したアストロサイトに起炎剤であるLPSを添加して活性化し反応性アストロサイトへの変換に伴う、アミロイド前駆体蛋白(APP)、Aβ切り出し酵素(α、β、及びγ‐ セクレターゼ)、Aβ分解酵素(インシュリン分解酵素活性及びネプリライシン)の変動解析を行った。その結果、反応性アストロサイトによるAβ産生増加は、APPおよび Aβ切り出し酵素β-セクレターゼの発現増加に加え、その分解酵素ネプリライシンの減少によって生じることを解明した(論文準備中)
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Cancer Sci.
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アミノ酸研究
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http://www.ncgg.go.jp/department/tsr/lds/index.html
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