研究課題
本研究では,XYPOS生殖腺におけるSryおよびSox9の経時的発現変化を詳細に解析した.その結果,野生型と比べてSryPOS発現開始時期は2~3尾体節遅延して精巣化の臨界期付近で発現を開始しており,Sox9発現はさらに遅延・低下し,かつ,生殖巣堤における前端・後端の発現が30尾体節で発現が抑制されることが明らかとなった.原因をSryの構造変化によるものと想定し,そのコーディング領域のシーケンス解析を行った結果,SryPOS内には,ヒトにおける性分化破綻の原因であるHMG boxに1アミノ酸置換が認められた.また,Q-rich領域は変化に富み,231番目のアミノ酸の変異(終止コドンの解消)およびQ-rich領域の変異-挿入により,元々のSryPOSの395アミノ酸よりもコーディング領域がさらに延長(400アミノ酸)していることが明らかとなった.Mus domesticus (DOM) とMus musculus(MUS) とを比較すると前者では途中にナンセンス変異が入り,長さが半分程短い.このことから,当研究室のSryPOSは,DOMで特徴的な終止コドンが解消されたと考えられる.このような変異をもったSryのアイソフォームは,他のDOM系統と同様,Sox9発現誘導を十分に惹起できず,精巣索形成の遅延を引き起こす可能性が示唆された.Q-rich領域は精巣化に重要であり,とくにSox9発現の活性化に関与することが性差構築の基盤となっている.しかしながら,多様な表現型の出現を伴った性逆転についてはC57BL/6系統の遺伝的背景にさらなる複合的な要因が存在すると考えられた.
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 10件、 謝辞記載あり 10件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Int J Mol Sci
巻: 15 ページ: 8959-8978
10.3390/ijms15058959
J Vet Med Sci
巻: 76 ページ: 833-838
Biol Pharm Bull
巻: 37 ページ: 1439-1443
Anat Rec
巻: 297 ページ: 1462-1471
10.1002/ar.22937
巻: 76 ページ: 1201-1208
Poult Sci
巻: 93 ページ: 953-958
10.3382/ps.2013-03672
巻: 76 ページ: e1-e12
Arh Hig Rada Toksikol
巻: 65 ページ: 293-299
10.2478/10004-1254-65-2014-2494
Exp Anim
巻: 63 ページ: 31-44
J Appl Toxicol,
巻: 34 ページ: 117-126
10.1002/jat.2839
http://www.ans.kobe-u.ac.jp/kenkyuuka/sigen/bunsi.html