研究課題
中條-西村症候群 (NNS)は、常染色体劣性遺伝形式の希少な自己炎症性疾患である.我々は、homozygosity mapping法により、その責任遺伝子が免疫プロテアソームのサブユニットβ5iをコードするPSMB8遺伝子であることを同定した.加えてNNS患者で同定されたG201V変異により、(i)プロテアソームの形成不全と機能低下が起こり、(ii)ユビキチン化タンパク質の蓄積する、(iii)リン酸化p38の過剰な核内移行が引き起こすインターロイキン6の産生亢進が、NNSの発症機序の一部であることを報告した.本研究では、G201V変異を導入したNNSモデルマウスの作製・解析を行った。加えて次世代型シーケンサーによる原因不明の自己炎症性疾患の変異解析を行っている.NNSモデルマウスでは、NNS患者と同じく細胞内のユビキチン化タンパク質の蓄積や過剰なリン酸化p38の核内移行は観察されたが、NNS様の病態は示さなかった.細胞から抽出した総タンパク質をグリセロール密度勾配超遠心法で分画し、プロテアソームの活性を測定したが、NNS患者のような顕著な活性低下は確認されなかった.これは、ヒトとマウスのβ5iの発現パターンが異なることが原因でないかと考えている.IFN-γによる誘導がマウスでは強烈にかかり、β5iの機能低下を量で補填している可能性がある.しかし雌マウスは出産後に子宮頸部と指に炎症を起こし、脂肪の消失を伴って1ヶ月以内に死亡する.また次世代型シーケンサーを用いた変異解析により、自己炎症性疾患が疑われる患者で、別のプロテアソームサブユニット遺伝子にde novo変異が同定された.
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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