研究課題
本研究課題は,ヒトM細胞のin vitroモデルであるCaco-2細胞/Raji細胞共培養系を用いて,Caco-2細胞をM細胞様細胞に分化させ,M細胞の細胞内粒子透過能をもたらす遺伝子を発現クローニングによって単離同定し,その遺伝子産物に対する単クローン抗体を作製し,免疫組織染色により炎症性腸疾患におけるM細胞の数と局在の変化を病理組織学的に解析することを目標としている.平成24年度に引き続き,平成25年度もCaco-2細胞/Raji細胞共培養系を用いて,Caco-2細胞からM細胞様細胞への分化を誘導する至適条件を探り続けてきたが,再現性のある至適条件が得られない状況である.そこで,Caco-2細胞/Raji細胞共培養系を用いたCaco-2細胞のM細胞様細胞への分化誘導は一時中止し,別の戦略をとることにした.これまでに報告されてきているマウスM細胞マーカーで,ヒトにおいても有用である可能性が高いと予想される糖タンパク質glycoprotein 2 (GP2)および転写因子Spi-Bに着目し,これらの遺伝子のヒトホモローグをヒト腸管cDNAライブラリーからクローニングし,発現ベクターにサブクローニングした.平成25年度末に,このベクターを用いたリコンビナントタンパク質の作製を終えたところである.平成26年度はこのリコンビナントタンパク質をマウスに投与して免疫し,血清抗体価の上昇を確認してから単クローン抗体の作製へと進めていきたい.
3: やや遅れている
Caco-2細胞/Raji細胞共培養系を用いて,Caco-2細胞をM細胞様細胞へと分化誘導させる至適条件を約2年間にわたって探り続けてきたが,再現性のある至適条件が得られなかったことが最大の理由である.
上述のGP2およびSpi-Bのリコンビナントタンパク質をマウスに投与して免疫し,血清抗体価の上昇を確認してから単クローン抗体の作製へと進めていきたい.最終的には,免疫組織化学に使用可能なクローンを樹立できるよう,特にハイブリドーマのスクリーニングには全力を尽くしたい.
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Andrology
巻: 2 ページ: 282-289
10.1111/j.2047-2927.2014.00192.x
PLoS One
巻: 8 ページ: e78191
10.1371/journal.pone.0078191