研究概要 |
加齢性EBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は免疫機能不全や先行リンパ腫のない中高齢者に発症するEBV陽性B細胞性腫瘍である。当疾患の病理形態学的特徴は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と類似した病変(Large lymphoma cell subtype:LC)から背景反応性細胞が豊富なホジキンリンパ腫に類似するもの(Polymorphous subtype: PL)まで非常に幅広い。本研究で以下のことが判明した。 1.上記の2つのsubtypeに加え新たな形態学的亜型が認められた。それはリンパ節外病変(特に鼻腔~口腔領域)に病変を認め、形態学的にはPlasmablastic lymphomaに類似するが、HIVの既往はない。明らかな免疫不全の既往はないが高齢者の発症である点が挙げられる。免疫組織学的には、CD20-CD38+EBER in situ+ を示すのに加え、全例でLMP1陰性を示す。これはPlasmablastic lymphoma of the elderly (PBLe)として報告した。(Liu F and Asano N, Histopathology 2012) 2.前述の3つの亜型(PL, LC., PBLe)に関して、腫瘍細胞のLMP1とNFκB経路の調節因子であるA20の発現に着目し臨床病理学的解析を行った。腫瘍細胞の少ないPL subtypeでは、腫瘍細胞はLMP1+A20+のdouble positiveを示すことが多く(21/34 62%)、一方、腫瘍細胞が豊富なPBLeではLMP1陰性であるのに加え、A20も陰性を示した。またLC subtypeのLMP1,A20陽性パターンは、PLとPBLeの中間を示した。現在これらの疾患に関してA20のFISH解析を進行中である。
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