研究課題/領域番号 |
24590412
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
降幡 睦夫 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (10209158)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 前立腺がん / がん感受性遺伝子座 / ゲノムワイド関連解析 / SNP |
研究概要 |
一般に癌に関しての腫瘍動態及び病理形態学的多様性に対応する発癌過程の全体像は、癌遺伝子及び癌抑制遺伝子の発現異常が、癌化との関連において重要な役割を担うことが知られている。前立腺癌に関しては、多くの癌遺伝子及び癌抑制遺伝子異常の検討がなされてきたが、前立腺癌感受性遺伝子座におけるSNPと、その癌化への影響に関しての研究報告は極めて僅かであり、我々は前立腺癌感受性遺伝子座(既に同定された10遺伝子座)を中心にSNPの解析をし、その遺伝子座でのSNPに影響され得る近傍の前立腺癌関連遺伝子の発現異常を明らかにする。まず前立腺生検及び外科組織材料を中心に、非腫瘍性前立腺、PIN、前立腺癌に関して分子生物学的及び免疫組織化学的にこれら遺伝子発現を比較検討し、前立腺癌における正常→前癌病変→発癌に至る過程を、今まで我々が報告した前立腺癌関連遺伝子の発現異常結果と比較検討し、前立腺癌の腫瘍動態全容を組織学的に解析する。さらに同定し得た癌感受性遺伝子座に認めるSNPに影響されうる近傍の新規前立腺癌関連遺伝子産物に関しては、必要に応じてそれら産物を抗原とした免疫組織化学に応用可能な抗体を作製する。これら遺伝子産物に対する抗体を用いて、前立腺生検組織材料を基に、主として非腫瘍性前立腺からPINそして前立腺癌へ至る段階で、これらSNPに影響され得る前立腺癌関連遺伝子産物の発現状態を比較検討し、その症例が前立腺癌に移行するか否かを免疫組織化学的に判定可能な産物候補を決定する。さらにはホルモン抵抗性前立腺癌での抵抗性獲得過程へのこれら産物の関与の有無も検討し、前立腺癌の病態解析及び治療方針決定に対応可能な病理診断の確立を目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年以前における高知大学医学部病理学教室と、学外関連施設及び医学部附属病院に関連した前立腺癌の生検及び手術症例を把握集計し、組織型、Gleason Score、進達度(手術材料)、遠隔転移の有無等の臨床病理学的諸因子に関する基本的な統計学的解析を検討した。前立腺癌感受性遺伝子座でのSNP解析は、Biobank Japan(ClinAdvHematolOncol. 5:696-,2007)に登録済の前立腺癌患者、非腺癌患者に関してApplied Biosystems社AB13730 Genetic Analyzerにてゲノムワイド関連解析を検討し、既に同定されているSNPも含め再確認後、その近傍に存在する癌関連遺伝子に影響を及ぼし得るSNP候補を選択し、目的とする癌遺伝子発現異常の有無につき前立腺癌培養細胞株を用い分子生物学的検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
既に報告した前立腺癌抑制遺伝子NKX3.1発現への抑制的関与以外に、前立腺癌感受性遺伝子座に認めるSNPに影響される近傍の前立腺癌関連遺伝子を検索し、これらを筆頭に、前立腺癌感受性遺伝子座に認めるSNPに伴う近傍の前立腺癌関連遺伝子発現への影響等の検討を行う。前立腺生検及び外科組織材料を中心に、非腫瘍性前立腺、PIN、前立腺癌に関して分子生物学的及び免疫組織化学的にこれら遺伝子発現を比較検討し、前立腺癌における正常→前癌病変→発癌に至る過程を、今まで我々が報告した前立腺癌関連遺伝子の発現異常結果と詳細に比較検討する。さらに同定し得た癌感受性遺伝子座に認めるSNPに影響されうる近傍の新規前立腺癌関連遺伝子産物に関しては、必要に応じてそれら産物を抗原とした免疫組織化学に応用可能な抗体を作製する。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品経費としては、遺伝子関連器具及び試薬、標本作製試薬、自動免疫装置における二次抗体、緩衝液のキット、抗体作製器具及び試薬等で、その他国内学会参加発表の旅費、共同研究者との研究打ち合わせ旅費等を計画している。
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