研究課題/領域番号 |
24590413
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山元 英崇 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30404073)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 胃腸管間質腫瘍 / 低酸素 |
研究概要 |
胃腸管間質腫瘍(GIST)において、KITまたはPDGFRA遺伝子の機能獲得型変異に加え、HIF(hypoxia-induced factor)やその制御因子であるVHL(von-Hippel-Lindau), HIFの蓄積に影響を与えるTCA回路の構成因子であるSDH(succinate dehydrogenase), FH(fumarate hydratase)等の低酸素応答に関連する分子の異常を解析し、GISTの発生や高悪性化への関与を解明し、分子病態に応じたGISTの個別化治療の礎とすることを目的とした研究である。ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)標本より、DNAを抽出し、KIT, PDGFRAについて、PCR,シークエンス法にて遺伝子変異を検出し、これまでの報告と同様の遺伝子変異のパターンや頻度の結果を得た。また、HIF-1α, SDHBの免疫組織化学染色を行い、臨床病理学的因子との相関を検討している。さらに新鮮凍結切片を用い、microRNA arrayを行い、GISTの悪性度と相関して、有意に発現増加あるいは低下しているmicroRNAがリストアップされた。この結果と合わせ、低酸素応答分子との関連が報告されているマイクロRNA(miRNA)につき定量的RT-PCRを行ったところ、腫瘍サイズや組織学的悪性度と相関を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画のKIT, PDGFRA遺伝子変異解析については、これまでの報告例とほぼ同様の結果が得られ、ほぼ計画通りに進行した。SDHやVHLの遺伝子変異ならびにメチル化解析については、終了していないが、SDH, HIFの免疫組織化学染色やmicro RNAのRT-PCRは当初予定より早く開始できた。よって概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、SDHやVHLの遺伝子変異ならびにメチル化解析を行う。またHIFと制御分子(SDH, FH, VHL, リン酸化mTOR)の蛋白発現を免疫組織化学染色およびWestern blottingにて引き続き解析する。HIF標的遺伝子(VEGF, GLUT-1, CAIX)については、蛋白発現(免疫組織化学染色)およびmRNA発現レベル(定量的RT-PCR)を解析する。以上の解析結果とKIT/PDGFRA遺伝子変異パターンを総合して、HIF関連分子の異常、標的遺伝子の発現レベルと臨床病理学的因子、病理組織学的特徴ならびに予後との相関を統計学的に解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
免疫組織化学染色やウエスタンブロットの抗体ならびに染色関連試薬、PCR(シークエンスや定量的PCR)関連試薬の購入が主な研究費の用途である。また国内学会で当該年度までの研究成果を発表予定であり、その旅費に使用する予定である。
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