DNA損傷応答(DDR)分子53BP1はDNA二重鎖切断(DSB)部位に集積し、核内フォーカス(NF)を形成する。53BP1NFの増加は自然発症DSBの亢進を示唆し、ゲノム不安定性を反映する。本研究では、53BP1発現の甲状腺濾胞性腫瘍の診断への応用の可能性を検討した。濾胞腺腫(FA)、微少浸潤型濾胞癌(MFC)、広範浸潤型濾胞癌(WFC)合計69例を対象に蛍光免染解析し、NFを低DDR型と高DDR型に分類した。NFは被膜直下に均一に分布し、総数と高DDR型の平均発現率は、FA、MFC、WFCの順に有意に増大した。53BP1蛍光免染は濾胞性腫瘍の鑑別に有用で、術前診断の応用への可能性がある。
|