研究課題
本研究では、SAV1遺伝子の腎癌細胞における機能を解明して、14q lossによって引き起こされるSAV1の発現低下が腎癌の悪性化を引き起こすメカニズムを解明することを目的とする。さらにSAV1はHippoパスウェイのシグナル分子であることから、腎癌において、SAV1発現低下がHippoパスウェイのシグナルにどのような影響をもたらすのか、腎癌の発症・悪性化にどう関わるのかを解明することを目的とする。平成24年度では、in vitroにおいて腎癌細胞株でSAV1の発現は増殖能を抑制し、下流のシグナル伝達に影響を与えていることがわかった。平成25年度では、ヒト腎癌症例ではSAV1の発現が抑制された症例はYAP1が核に集積し、悪性度の高い症例で認められる傾向にあった。またSAV1を強制発現させた腎癌細胞株を樹立しSCID mouseに移植したところ、SAV1発現細胞株を移植した腫瘍は有意に小さかったことから、in vivoでも腫瘍増殖の抑制に関わっていることがわかった。そこで、平成26年度は、マウスへの移植モデルの腫瘍から抽出したRNAを用いて、増殖抑制のメカニズムを検討した。具体的には、control腫瘍と、SAV1-1を移植した腫瘍各々の腫瘍から抽出したRNAを用いてexpression arrayを行った。SAV1発現細胞株を移植した腫瘍で有意に変動した遺伝子を抽出しパスウェイ解析したところ、TGFβパスウェイが有意に変動していることがわかった。Western blot法によりTGFβパスウェイを構成する分子の発現を調べたところ、SAV1発現細胞株を移植した腫瘍ではTGFβパスウェイが抑制されていることがわかった。これらの解析により、SAV1がvivoにおいて少なくとも一部ではTGFβパスウェイを介して腫瘍の増殖を抑制していることが示唆された。
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