研究課題/領域番号 |
24590416
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
守山 正胤 大分大学, 医学部, 教授 (90239707)
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研究分担者 |
中田 知里 大分大学, 医学部, 助教 (60379625)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 腎細胞癌 / 転移 |
研究概要 |
遺伝子の絞り込みに関しては、腎細胞癌症例20例について原発巣と転移巣におけるアレイCGH解析によって転移巣で有意にgene-copy number loss を認めた領域として、9p24.1-p13.3領域を同定し、その領域に存在する約200個の遺伝子の内で発現低下する遺伝子を凍結腎細胞癌組織を用いてトランスクリプトーム解析した。さらに腎癌培養細胞を用いてアレイCGH法により解析して、9p24.1-p13.3領域のlossを認める細胞株と認めない細胞株に分け、さらにmRNA発現をトランスクリプトーム解析によって網羅的に調べて、9p24.1-p13.3領域に存在する遺伝子のうちで、これらの領域のlossによって発現低下する遺伝子を抽出した。その結果、2つの候補遺伝子の同定に成功した。これらのgene-copy number lossと発現低下はリアルタイムPCRを用いた解析で確認した。当初の計画では24年度は遺伝子の絞り込みと発現低下に関して、リアルタイムPCRによって確認するところまでを計画していたが、遺伝子発現低下する遺伝子が思いのほか少なかったため、計画をさらに前倒しした。すなわち、これらの二つの遺伝子のcDNAを遺伝子導入するための組み換えウィルス(レンチウィルス)ベクターに組み込み、組み換えレンチウィルスを作製した。したがって、24年度中に25年度の遺伝子導入実験の準備実験が終了し、達成することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は24年度は腎癌組織と腎細胞癌細胞株を用いて、アレイCGH解析とトランスクリプトーム解析をおこない、gene-copy number lossを認める領域の特定、さらにgene-copy number lossによって発現低下する遺伝子を同定することを目標にしていたが、計画がきわめて順調に進展したため、25年度の実験計画を前倒しして実施して、遺伝子導入のための組み換えウィルス作製まで達成した。
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今後の研究の推進方策 |
9p24.1-p13.3領域の転移抑制遺伝子候補の遺伝子導入による機能解析実験 24年度に作製した組み換えウィルスを9p24.1-p13.3領域のlossを有しかつ候補遺伝子が発現低下している細胞株に遺伝子導入して一過性発現させ、細胞増殖能をコントロール細胞と比較する(MTS assay)。次いで細胞増殖能が有意に低下する遺伝子を特定する(転移抑制遺伝子候補の絞り込み)。同様にBoyden-Chamber法により、癌細胞の浸潤能を解析する。候補遺伝子が発現低下している細胞株に遺伝子導入して浸潤能が低下するか否かを解析する。 転移抑制遺伝子候補のsiRNAを用いた発現抑制解析 上述の実験で、遺伝子導入によって、a)細胞増殖の低下、b)浸潤能の低下を認めたものについては以下の実験を追加する。発現低下を認めなかった細胞株に対して、shRNAを発現させる組み換えレンチウィルスを作製して、感染させて候補遺伝子をノックダウンすることによって、a)増殖能の亢進、b)浸潤能の亢進を示すか否かを解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主として培養細胞を用いた細胞生物学的実験が主体となるため、細胞培養のため消耗品(ディッシュ、培地、血清、遺伝子導入試薬、細胞の増殖や細胞死の同定、解析のためのキットや試薬等に使用する。 さらに同定された遺伝子の機能解析のための生化学実験、分子生物学的実験のための消耗品の購入に使用する。 さらに実験の進展具合によっては、26年度の動物実験の準備ために実験動物の購入が必要となる可能性が高い。
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