研究課題
25年度までに転移性腎がん症例の原発巣と転移巣のアレイCGH解析によって9p24.1-p13.3領域のlossが転移巣に有意に高頻度であったことから、この領域の遺伝子発現をしらべ、9p24.1-p13.3領域のlossによって発現低下する遺伝子を抽出した。そして抽出された遺伝子の発現低下の有無と患者の予後(recurrence-free survival)を比較し、2つの遺伝子NDUFB6とLRRC19の発現低下が予後不良をもたらすことを見出した。そこで、26年度以降は、その機能の解析を進めた。9p24.1-p13.3領域のgenomic lossを認め、かつ両遺伝子の発現低下を認める腎がん細胞786-Oと769-Pに両遺伝子をそれぞれ組み換えレンチウィルスを作製して両細胞に感染させることで遺伝子導入したところ、LRRC19は増殖能には影響せずかつ、Boyden-chamber 法を用いて浸潤能を比較しても影響は認めなかった。一方、NDUFB-6は同じ方法で比較したところ、浸潤能には影響しなかったが、増殖能の低下をもたらした。したがって、NDUFB-6は原発巣では異常が少ないが、転移巣で9p24.1-p13.3のlossにより発現低下し、それが転移巣のがん細胞の増殖力を高め、それが患者の予後(recurrence-free survival)の短縮に関わっていることが強く示唆された。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
Cancer Medicine
巻: 4 ページ: 112-24
doi: 10.1002/cam4.351
Int J Clin Exp Pathol
巻: 7 ページ: 7312-8