腎細胞癌の進行(転移)に関わる遺伝子を同定する目的で、原発巣を手術し得た腎細胞癌症例のうちで、転移により再発し、かつ転移巣を手術的に切除し得た症例20例について原発巣と転移巣のゲノム異常をアレイCGH解析により比較した。その結果、 9p24.1-p13.3領域が転移巣であらたにゲノムの欠失を引き起こすことを見出した。腎癌細胞株を用いてこの領域の遺伝子発現を網羅的に調べたところ、NDUFB6遺伝子がgene copy-lossにより発現低下することを見出した。同遺伝子の発現低下した腎癌細胞株に同遺伝子を導入すると増殖抑制を引き起こすことからNDUFB6が新しいがん抑制遺伝子であることを発見した。
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