研究課題/領域番号 |
24590419
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
田中 弘之 宮崎大学, 医学部, 助教 (90433060)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 肺癌 / HGF 肝細胞増殖因子 / HAI-1 / LRP11 |
研究概要 |
肺癌における浸潤・転移機構と肝細胞増殖因子Hepatocyte Growth Factor (HGF)系およびその制御の要であるHGF activator inhibitor type-1 (HAI-1)およびHAI-1類似蛋白であるLow density lipoprotein receptor-related protein 11 (LRP11)がどのように関わっているかを明らかにすることは、肺癌の分子学的病態の一側面を解明することにつながり、また新規分子標的治療薬の標的にもなりうる可能性がある。 われわれが行ったノーザンブロットを用いた予備実験では、ヒト正常臓器において脳・前立腺および精巣にLRP11の遺伝子発現がみられ、肺ではその遺伝子発現が軽度認められた。LRP11に関する文献的報告は全くない。このためCHO細胞にヒトLRP11を過剰発現させたCHO-hLRP11細胞を作成し、RT-PCR法で、LRP11の遺伝子発現を確認した。その後LRP11遺伝子発現を確認したCHO-hLRP11細胞株から蛋白抽出(Cellytic溶液を用いて蛋白抽出)を行い、western blotでLRP11の蛋白発現を市販のポリクローナル抗体を用いて確認した。 またヒト肺癌組織を用いた免疫染色では、腺癌、扁平上皮癌、小細胞癌において、癌細胞膜および細胞質に陽性像が得られた。 またヒト肺癌組織を用いた免疫染色では、HAI-1およびHAI-2の発現と予後を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LRP11に関する文献的報告は全くなく未知の新規蛋白質であることから、抗LRP11抗体は市販されていないため、抗LRP11抗体を作製した。ヒト抗原LRP11をアジュバントとともに免疫したマウスから脾臓を摘出し、ミエローマ細胞と融合し、抗ヒトLRP11モノクローナル抗体を作製した。抗ヒトLRP11モノクローナル抗体は、その精製過程でIgMであることが分かった。この抗ヒトLRP11モノクローナル抗体はLRP11に対する特異性が低いことがwestert blotで分かった。
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今後の研究の推進方策 |
ミエローマ細胞と融合し、作成した抗ヒトLRP11モノクローナル抗体の特異性が低いために、現在では市販されている各種ポリクローナル抗体を、hLRP11を強制発現したCHO細胞を用いて、western blotの各種条件設定を検討している。またヒト肺癌組織を用いた免疫染色の条件設定も検討している。
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次年度の研究費の使用計画 |
各種肺癌培養細胞株をRT-PCRとウェスタンブロットで肺癌培養細胞株におけるHAI-1, LRP11およびmatriptaseの発現をスクリーニングする。肺癌培養細胞株でLRP11およびmatriptaseが発現していない細胞株があればLRP11およびmatriptaseおよびその両者を強制発現させる。LRP11およびmatriptaseが発現していない肺癌培養細胞株が見つからない場合はCHO細胞を用いた系を考慮する LRP11およびmatriptaseを発現している肺癌培養細胞株(腺癌細胞株2株、扁平上皮癌細胞株2株、小細胞癌細胞株2株)を用意し、RNAiを用いて、LRP11、matriptaseおよびその両者に関してノックダウン法を行う。プライマーを3セット用意し、どのプライマー セットが最も抑制するかをRT-real time PCRとウェスタンブロット法で検討する。
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