研究課題/領域番号 |
24590419
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
田中 弘之 宮崎大学, 医学部, 助教 (90433060)
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キーワード | 肺癌 / 膜蛋白質 / HAI-1 / HGF / LRP11 |
研究概要 |
肺癌における浸潤・転移機構と肝細胞増殖因子Hepatocyte Growth Factor (HGF)系およびその制御の要であるHGF activator inhibitor type-1 (HAI-1)およびHAI-1類似蛋白であるLow density lipoprotein receptor-related protein 11 (LRP11)がどのように関わっているかを明らかにすることは、肺癌の分子学的病態の一側面を解明することにつながり、また新規分子標的治療薬の標的にもなりうる可能性がある。 われわれが行ったノーザンブロットを用いた予備実験では、ヒト正常臓器において脳・前立腺および精巣にLRP11の遺伝子発現がみられ、肺ではその遺伝子発現が軽度認められた。LRP11に関する文献的報告は全くない。このためCHO細胞にヒトLRP11を過剰発現させたC HO-hLRP11細胞を作成し、RT-PCR法でLRP11の遺伝子発現を確認した。LRP11遺伝子発現を確認したCHO-hLRP11細胞株から蛋白抽出(Cellytic溶液を用いて蛋白抽出)を行い、western blotでLRP11の蛋白発現を市販のポリクローナル抗体を用いて確認した。 ヒト肺癌組織を用いた免疫染色では、腺癌、扁平上皮癌、小細胞癌において、癌細胞膜および細胞質に陽性像が得られた。ヒト肺癌組織を用いた免疫染色では、HAI-1およびLRP11の発現と予後を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LRP11の蛋白発現を市販のポリクローナル抗体を用いて確認した。CHO-hLRP11細胞株および各種肺癌培養細胞株を用いたwestern blotでは、予測される部位ではなく、より大きなサイズの部位にバンドがみられ、二量体が形成されている可能性がある。western blotの抗体メーカーと自実験の結果の相違を検索中である。 また耐震工事による研究室の引越のため、研究の中断を余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
膜蛋白質であるHAI-1およびLRP11について、FFPEによる切片で免疫染色を施行し、その臨床病理学的解析を行う予定である。 またHAI-1およびLRP11の肺癌における機能解析およびin vitroにおけるシグナル伝達を含めたpathwayの解析やエピジェネティクスな機構について解析を行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験室の耐震工事による引越のため、実験が一時中断せざるを得なかったため。 耐震工事中に行う予定であった実験を行う際の消耗品および抗体など免疫染色に関する実験に使用する予定である。
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