研究課題/領域番号 |
24590420
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
畠山 金太 宮崎大学, 医学部, 准教授 (60325735)
|
研究分担者 |
鶴田 敏博 宮崎大学, 医学部, 講師 (10389570)
佐藤 勇一郎 宮崎大学, 医学部, 助教 (90347055)
|
キーワード | 冠動脈プラーク / ポドプラ二ン / CLEC-2 / アテローム血栓症 / マクロファージ / 心筋梗塞 / 免疫染色 / 炎症 |
研究概要 |
ヒトの病理組織標本を用いて冠動脈プラークにおける病理組織所見とポドプラニン/CLEC-2蛋白・遺伝子発現を臨床データと併せて解析した。 (1)宮崎大学医学部附属病院および教育関連病院で施行されたDCA標本50例、心筋梗塞患者の冠動脈から採取される吸引血栓・血液サンプル50例およびヒト剖検症例冠動脈標本20例を用いて、冠動脈プラークと非プラークにおけるポドプラニン/CLEC-2 蛋白発現の局在を免疫組織化学的に検討し、動脈硬化巣の組織所見との関連を明らかにした。(2)DCA標本、吸引血栓・血液およびヒト剖検症例冠動脈標本でのポドプラニン/CLEC-2 蛋白/mRNA発現とその局在および蛋白定量の結果と臨床所見(不安定狭心症 vs.安定狭心症、再狭窄の有無・程度との関連)を比較検討し、アテローム血栓症発症におけるポドプラニン/CLEC-2 の関与について検討した。また、糖尿病、高脂血症、高血圧、喫煙などの危険因子との関連性についても検討した。 上記(1)と(2)の結果の詳細について ポドプラニン発現は健常血管(非プラーク)ではごく少数のマクロファージで認めるのみであり、平滑筋細胞、内皮細胞、リンパ球では認められなかった。進行性プラーク内ではマクロファージを中心に一部の平滑筋細胞にもみられた。また、ポドプラニンの発現は炎症性サイトカインINFgammaや MMP 9 の発現と相関していた。したがって、様々な危険因子の集積による血管壁炎症反応の亢進がポドプラニンの発現亢進につながり動脈硬化の進展に関与する可能性が示唆された。CLEC-2 発現については、特異性のある抗体が使用できず詳細な検討は困難であるが、一方、冠動脈プラーク内におけるCLEC-2 結合蛋白質について現在検討を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
心筋梗塞や脳梗塞などのアテローム血栓症は、粥状動脈硬化巣(プラーク)の破綻に伴う血栓形成により発症する。本研究では (1)アテローム血栓症における血小板凝集因子ポドプラニンとその受容体C-type lectin-like receptor 2 (CLEC-2)の関与について、剖検例の冠動脈、狭心症・心筋梗塞患者の冠動脈アテレクトミー標本および吸引血栓を用いて臨床病理学的検討を行ことが目的であ る。 (2)さらに細胞培養、血栓イメージング法、動物実験により、プラーク局所でのポドプラニン/CLEC-2の発現調節機序の解明とポドプラニン/CLEC-2の結合阻害による血栓抑制作用の検討を行い、アテローム血栓症における予防・治療のターゲットとしてのポドプラ ニン/CLEC-2の可能性を探る。 現在までのところ、(1)については概ね目的に到達しているが、さらに症例数を増やして現象の確からしさを検討したい。(2)については培養実験には着手しているが、CLEC-2抗体の特異性に問題があり、また動物実験におけるポドプラニン過剰発現モデルの作製が困難で現在、新たな手法を模索している。
|
今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方策) (1) 引き続き症例の収集を重ねてDCA標本、吸引血栓・血液およびヒト剖検症例冠動脈標本の病理学的解析と臨床所見との比較検討をすすめる。 (2)プラーク内におけるポドプラニン/CLEC-2 の発現調節機構を解明するために、プラークを構成する平滑筋細胞や内皮細胞、マクロファージのヒト培養細胞におけるポドプラニン/CLEC-2 発現を検討する。特に、これらの細胞が産生・分泌する種々のサイトカインによるポドプラニン/CLEC-2 の発現調節について検討する。 (3)冠動脈プラーク内におけるCLEC-2 結合蛋白質について検討を進める。 (4)ポドプラニン過剰発現モデルの作製
|