研究課題/領域番号 |
24590423
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
宇月 美和 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (50305992)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / 生物学的製剤 / 滑膜組織 / サイトカイン |
研究概要 |
【目的】一般的な関節リウマチ(RA)患者およびエタネルセプトを中心とした生物学的製剤治療RA例(Bio)について、整形外科的な手術の際に軟骨組織や滑膜組織などの試料収集をおこない、それぞれの基本的な病理学的特徴を検討した。 【方法】滑膜組織での炎症スコアの検討: すでに収集ずみの一般的なRA患者15例と新たに採取されたBio例36例の滑膜組織について、滑膜組織の炎症の程度をRooneyのhistological indexを用いてスコア化した。また、Rooneyのhistological indexの6項目中で、特にどのindexに変化があるか、検討した。さらに、より詳細な検討のため、リンパ球や血管、マクロファージ、骨髄由来の細胞などのマーカーを用いて、具体的な構成細胞の特徴の変化を検討した。 【結果】一般的なRAに比較してBio例ではRooneyのhistological indexは低下していたが、特にリンパ球浸潤に関する炎症スコアが著しく低下していた。また、線維化についてはBio例が増加していた。各種マーカーによる検討では、リンパ球や血管数や密度の低下がBio例でみられたほか、滑膜表層のCD68陽性のマクロファージ系細胞や、腫大したCD34陽性紡錘形細胞も減少していた。 【まとめ】Bio例では滑膜組織の炎症は病理組織学的にも抑制されていることが証明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一般的な関節リウマチ患者と生物学的製剤投与例の滑膜組織の収集はある程度進み、データの比較や解析ができる症例数となった。また、滑膜組織での病理組織学的な解析についても、一般染色や免疫組織化学などが終了している。上記の標本について、細胞数などのカウントもすすみ、両者の比較もおこなった。臨床データも揃っているので、今後は症例数を増やして、臨床的なデータとの相関をより詳細におこなえる。
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今後の研究の推進方策 |
1)引き続き生物学的製剤投与症例の試料の採取をおこないつつ、生物学的製剤の投与前と投与後で比較可能であった症例については、病理組織像や平成24年度に検討した項目についての投与前後での変化および、著効例と無効例について組織学的な特徴を検討する。再燃例については、最初に効果があった際にも残存していた細胞(線維芽細胞様細胞)の特徴を組織学的に検討する。その他に、疾患特異的な細胞(線維芽細胞様細胞)における様々な蛋白分解酵素や基質の合成、分解などについて、免疫組織科学や in situ hybridization などの方法により検討する。 2)生物学的製剤の投与前と投与後での比較: 生物学的製剤などの治療薬による滑膜組織像の変化について、生物学的製剤の投与前と投与後で比較可能であった症例について、平成24年度と同様の病理組織学的な検討をおこなう。 3)生物学的製剤の著効例と無効例および著効後の再燃例についての組織学的な特徴の検討: 生物学的製剤の著効例と無効例、および生物学的製剤の著効後の再燃例について、平成24年度と同様な検討をおこなう。特に、著効後にも残存している線維芽細胞様細胞について詳細に検討する。 4)滑膜組織でのサイトカインや蛋白分解酵素および各種分子マーカーの発現の検討: 上記の滑膜組織でおもなサイトカインや蛋白分解酵素のmRNA(in situ hybridization)および蛋白(免疫組織化学)の分布を調べる。特に滑膜線維芽細胞に重点を置いて検討する。 4)データ解析: 生物学的製剤の治療効果について、著効例と無効例の組織学的な特徴を検討する。臨床的なデータと病理組織像の関係について詳細に解析し、その結果より、関節リウマチの病因や骨破壊の機序、重症度や予後との関係について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に行なった病理組織学的な検討を引き続きおこない、さらにin situ hybridizationやサイトカインのELISAなどをおこなう予定である。そのための試薬(抗体など)、in situ hybridization用のプローブなどの他、実験用消耗品(ガラス器具、プラスチック製品など)、データ保存用のメディアを購入予定である。
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