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2013 年度 実施状況報告書

生物学的製剤投与による関節リウマチの病理学的変化と疾患特異的な細胞

研究課題

研究課題/領域番号 24590423
研究機関岩手医科大学

研究代表者

宇月 美和  岩手医科大学, 医学部, 准教授 (50305992)

キーワード関節リウマチ / 生物学的製剤 / 線維芽細胞様滑膜細胞 / 病理組織 / 治療
研究概要

【目的】一般的な関節リウマチ(RA)患者およびエタネルセプトを中心とした生物学的製剤治療RA例(Bio)について、整形外科的な手術の際に軟骨組織や滑膜組織などの試料収集をおこない、それぞれの基本的な病理学的特徴を検討する。さらにBio例については、著効例と無効例との比較もおこなう。
【方法】滑膜組織での炎症スコアの検討:一般的なRA患者15例とBio例36例の滑膜組織について、滑膜組織の炎症の程度をRooneyのhistological indexを用いてスコア化し、特にどのindexに変化があるか、検討した。Bio例については著効例と無効例の比較もおこなった。さらに、より詳細な検討のため、各種細胞マーカーで具体的な構成細胞の特徴の変化を検討し、サイトカインや蛋白分解酵素についても検討した。
【結果】Bio例では特にリンパ球浸潤に関する炎症スコアが著しく低下し、線維化については増加していた。著効例と無効例との比較では、著効例での投与前後での変化率が大きく、リンパ球や血管数や密度の低下がBio例でみられたほか、滑膜表層のCD68陽性のマクロファージ系細胞や、腫大したCD34陽性紡錘形細胞も減少していた。また、TNFαやMMP-3の陽性細胞数もBio例では減少し、特に著効例での減少率が大きかった。
【まとめ】Bio例の著効例では滑膜組織の炎症は病理組織学的にも抑制されていることが証明された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一般的な関節リウマチ患者と生物学的製剤投与例の滑膜組織の収集は昨年度に引き続いてある程度進み、データの比較や解析ができる症例数となった。また、滑膜組織での病理組織学的な解析についても、一般染色や免疫組織化学などが終了している。上記の標本について、細胞数などのカウントもすすみ、両者の比較もおこなった。さらにBio例の中での著効例と無効例の組織学的な比較や炎症スコアの比較もおこなっており、蛋白分解酵素やサイトカインについても組織学的な検討が進んでいる。臨床データも揃っているので、今後は症例数を増やして、臨床的なデータとの相関をより詳細におこなえる。

今後の研究の推進方策

平成24年~25年と同様の内容について、さらに症例を追加して検討をおこない、得られたデータの総合的な解析をおこない、RAの疾患特異的な細胞の特定をおこなう。特に、線維芽細胞様細胞と炎症の変化との関係について検討し、関節リウマチの発症に関わる細胞や因子について研究をすすめる。さらに、生物学的製剤が上記の線維芽細胞様細胞にどのように作用し、効果をもたらすのかについて平成24年、25年に得られた結果を踏まえて、病理組織学的な検討をすすめる。
1)一般的な抗リウマチ薬を用いた後に生物学的製剤に変更になった症例で経時的な変化を追えた症例について、滑膜組織の変化を比較する。検討項目については平成24-25年度に検討した項目を検討する。特に再燃例について、効果がみられた場合にも残存する細胞(線維芽細胞様細胞)の特徴を組織学的に検討する。
2)一般的な抗リウマチ薬および生物学的製剤の投与前と投与後での比較
3)生物学的製剤の著効例と無効例および著効後の再燃例についての組織学的な特徴の検討:特に、著効後にも残存している線維芽細胞様細胞について詳細に検討する。
4)滑膜組織でのサイトカインや蛋白分解酵素および各種分子マーカーの発現の検討: 上記の滑膜組織でおもなサイトカインや蛋白分解酵素のmRNAおよび蛋白の分布を調べる。特に滑膜線維芽細胞に重点を置いて検討する。
4)データ解析: 生物学的製剤の治療効果について、著効例と無効例の組織学的な特徴を検討する。臨床的なデータと病理組織像の関係について詳細に解析し、その結果より、関節リウマチの病因や骨破壊の機序、重症度や予後との関係について検討する。

次年度の研究費の使用計画

購入予定だった画像解析ソフトおよび一部の染色キットの購入を次年度におこなうことに計画を変更したため。
画像解析ソフトおよび染色キットを購入する

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Upregulation of ANK protein expression in joint tissue in calcium pyrophosphate dihydrate crystal deposition disease.2014

    • 著者名/発表者名
      Uzuki M, Sawai T, Ryan LM, Rosenthal AK, Masuda I
    • 雑誌名

      J Rheumatol

      巻: 41 ページ: 65-74

    • DOI

      10.3899/jrheum.111476

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 電子顕微鏡から読み解く病理学(第12回) 病理学における電顕技術のブレークスルー 3Dトモグラフィー法と反射電子像の活用2014

    • 著者名/発表者名
      遠山 稿二郎, 花坂 智人, 松浦 絵里, 小笠原 勝利, 石田 欣二, 宇月 美和, 鎌滝 章央, 澤井 高志
    • 雑誌名

      病理と臨床

      巻: 32 ページ: 313-320

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 関節リウマチの検査・診断、病理組織検査、軟骨・骨破壊2014

    • 著者名/発表者名
      宇月美和、鎌滝章央、原田真理、三浦康宏、澤井高志
    • 雑誌名

      日本臨床 増刊号 最新関節リウマチ学

      巻: 72 ページ: suppl 280-285

  • [雑誌論文] 関節リウマチの検査・診断、病理組織検査、線維芽細胞様滑膜細胞ー関節リウマチの滑膜組織における線維芽細胞様滑膜細胞の形態学的ならびに機能的特徴2014

    • 著者名/発表者名
      澤井高志、村上賢也、宇月美和、原田真理、松村翼、石田欣二、土井田稔、京極方久、越智隆弘
    • 雑誌名

      日本臨床 増刊号 最新関節リウマチ学

      巻: 72 ページ: suppl 286-295

  • [雑誌論文] Serial block-face scanning electron microscopy combined with double-axis electron beam tomography provides new insight into cellular relationships2013

    • 著者名/発表者名
      Sawai T, Kamataki A, Uzuki M, Ishida K, Hanasaka T, Ochi K, Hashimoto T, Kubo T, Morikawa A, Ochi T, Tohyama K
    • 雑誌名

      Microscopy (Oxf)

      巻: 62 ページ: 317-320

    • DOI

      10.1093/jmicro/dfs069

    • 査読あり
  • [雑誌論文] World's first telepathology experiments employing WINDS ultra-high-speed internet satellite, nicknamed "KIZUNA"2013

    • 著者名/発表者名
      Sawai T, Uzuki M, Miura Y, Kamataki A, Matsumura T, Saito K, Kurose A, Osamura YR, Yoshimi N, Kanno H, Moriya T, Ishida Y, Satoh Y, Nakao M, Ogawa E, Matsuo S, Kasai H, Kumagai K, Motoda T, Hopson N
    • 雑誌名

      J Pathol Inform

      巻: 4 ページ: 24

    • DOI

      10.4103/2153-3539.119002. eCollection 2013

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 腰椎椎間関節軟骨変性の評価 病理組織像とT2マッピング法MRIとの比較2013

    • 著者名/発表者名
      山部 大輔, 村上 秀樹, 宇月 美和, 吉田 知史, 山崎 健, 嶋村 正
    • 雑誌名

      岩手医学雑誌

      巻: 65 ページ: 259-270

    • 査読あり
  • [学会発表] 生物学的製剤による関節リウマチ滑膜組織の病理学的変化2013

    • 著者名/発表者名
      窪田 綾子, 関口 昌之, 宇月 美和, 中村 卓司, 宮崎 芳安, 井形 聡, 塚越 実, 鈴木 大輔, 柘植 新太郎, 高松 諒, 土谷 一晃
    • 学会等名
      第41回日本関節病学会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20131102-20131103
  • [学会発表] 実験的変形性関節症モデル実験的変形性関節症に対する高分子ヒアルロン酸と架橋型ヒアルロン酸の作用の病理学的検討2013

    • 著者名/発表者名
      宇月美和、原田真理、石黒直樹、岩館克治、澤井高志
    • 学会等名
      第102回日本病理学会総会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      20130606-20130608
  • [学会発表] 抗肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)抗体の持続的陽性患者に発症した胸部大動脈瘤の一症例2013

    • 著者名/発表者名
      宇月美和、岩渕 將、城 謙輔、土屋善慎、佐藤壽伸、田熊淑男、茂泉善政、澤井高志
    • 学会等名
      第102回日本病理学会総会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      20130606-20130608
  • [学会発表] 実験的変形性関節症に対する高分子ヒアルロン酸と架橋型ヒアルロン酸の作用の病理学的検討2013

    • 著者名/発表者名
      宇月美和、原田真理、石黒直樹、岩館克治、澤井高志
    • 学会等名
      第57回日本リウマチ学会総会・学術集会/第22回国際リウマチシンポジウム
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130418-20130420
  • [学会発表] 抗肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)抗体の持続的陽性患者に発症した胸部大動脈瘤の一症例2013

    • 著者名/発表者名
      宇月美和、澤井高志
    • 学会等名
      第57回日本リウマチ学会総会・学術集会/第22回国際リウマチシンポジウム
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130418-20130420
  • [学会発表] 関節リウマチの治療 生物学的製剤(TNF阻害薬以外) トシリズマブ投与前後の関節リウマチにおける滑膜組織を用いた治療効果の検討2013

    • 著者名/発表者名
      窪田 綾子, 宇月 美和, 澤井 高志, 土田 豊実, 勝呂 徹
    • 学会等名
      第57回日本リウマチ学会総会・学術集会/第22回国際リウマチシンポジウム
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130418-20130420
  • [学会発表] RAに対するBio製剤使用中の整形外科手術 生物学的製剤(Bio)製剤による関節構成体の病理学的変化2013

    • 著者名/発表者名
      窪田 綾子, 関口 昌之, 宇月 美和, 澤井 高志, 勝呂 徹
    • 学会等名
      第57回日本リウマチ学会総会・学術集会/第22回国際リウマチシンポジウム
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130418-20130420

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公開日: 2015-05-28  

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