膵癌が前駆病変から進行癌に進展していく過程を、その発生基盤と考えられるPanINやIPMNを中心に検討した。PanIN-3病変から浸潤性膵管癌が発生するルートはあるものの、de novo発生例の可能性も存在した。IPMN症例では浸潤癌の組織型がgastric typeとintestinal typeで異なる傾向がみられた。膵癌の周囲組織への浸潤に関しては、癌細胞が正常膵に浸潤していく際、ランゲルハンス島が最後まで温存される傾向がみられた。組織マイクロアレイでの検討では、稀ではあるが、HNF-1 beta、chromogranin A、p63などが免疫組織化学的に陽性を示す癌症例も存在した。
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