研究分担者 |
藤原 正親 杏林大学, 医学部, 講師 (20407026)
佐藤 華子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (60438132)
原 由紀子 杏林大学, 医学部, 講師 (40313267)
下山田 博明 杏林大学, 医学部, 助教 (60381472)
菅間 博 杏林大学, 医学部, 教授 (10195191)
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研究概要 |
種々の組織型(小細胞癌、扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌)に由来する肺癌培養細胞を用い、非小細胞癌株に比して小細胞癌株において有意に発現の高いホメオボックス遺伝子の同定を試みた。その結果、LHX2, LHX6, FOXA1, FOXA2, BRN2が小細胞癌において高発現していることが判明した。これらのホメオボックス型転写因子に対する発現ベクターを構築しそれぞれを単独で非小細胞癌株に遺伝子導入したところ、LHX2, LHX6, FOXA1, FOXA2については神経内分泌マーカー(neural cell adhesion molecle-1, synaptophysin, chromogranin A)の変動は確認されなかったが、BRN2についてはいずれの神経内分泌マーカーの発現も亢進させることが明らかになった。さらにBRN2 (POU3F2)に加えてPOU3F1, POU3F3, POU4F1, POU4F2, POU4F3の発現状態についても検索を進めた。その結果、これらのPOUホメオボックス因子は小細胞癌株特異的に発現していることが判明した。 肺癌組織(小細胞癌、扁平上皮癌、腺癌)におけるBRN2の発現状態について、免疫組織化学的解析を行った。その結果、BRN2の発現は小細胞癌に高頻度に認められた。今後非神経内分泌肺癌細胞から神経内分泌肺癌細胞へと形質転換を試みるにあたり、遺伝子導入を行う肺癌細胞にどのような背景形質が必要であるのかを探るため、肺癌組織を用いてcytokeratin 7 (CK7)の発現状態を検索してみた。その結果、肺小細胞癌は腺癌と同様にCK7を発現していること、扁平上皮癌にCK7の発現はみられないことが判明した。この結果より、今後は形質転換を試みる肺癌細胞株に腺癌株を加えていくこととした。
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