研究課題/領域番号 |
24590428
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
矢澤 卓也 杏林大学, 医学部, 准教授 (50251054)
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研究分担者 |
藤原 正親 杏林大学, 医学部, 講師 (20407026)
佐藤 華子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (60438132)
原 由紀子 杏林大学, 医学部, 講師 (40313267)
下山田 博明 杏林大学, 医学部, 助教 (60381472)
菅間 博 杏林大学, 医学部, 教授 (10195191)
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キーワード | 人体病理学 / 肺癌 / 神経内分泌癌 / 分化形質 / 分子病理学 / 転写因子 / 小細胞癌 / 大細胞神経内分泌癌 |
研究概要 |
種々の組織型(小細胞癌、扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌)に由来する肺癌培養細胞を用い、神経系細胞に特異的に高発現しているclass III, class IV POU遺伝子の発現状態を網羅的に検索した。その結果、class III POU (POU3F1, POU3F2, POU3F3, POU3F4)、class IV POU (POU4F1, POU4F2, POU4F3)いずれも小細胞癌株で高発現していることが判明した。次にこれら7種のclass III/IV POU転写因子が他のclass III/IV転写因子の発現に関与しているか否かについて検討した。その結果、class III/IV POU転写因子は他のclass III/IV POU転写因子の発現をupregulateすることが判明し、その発現誘導能はPOU3F4およびPOU4F2において顕著であった。 次に、class III/IV POU転写因子がどの程度神経内分泌マーカー分子の発現誘導に寄与しているかについて検討した。その結果、class III/IV POU転写因子は神経内分泌マーカー分子であるCD56(NCAM1)、synaptophysin、chromogranin Aいずれの発現亢進にも関与していることが明らかになり、またそれらの発現亢進はPOU3F4およびPOU4F2において顕著であった。 次に、class III/IV POU転写因子が肺神経内分泌悪性腫瘍において特異的に発現されている転写因子の発現にも関与しているか否かについて検討した。その結果、achaete-scute homolog like 1 (ASCL1)、NeuroD1、thyroid transcription factor 1 (TTF1)の発現亢進にも関与していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Class III/IV POU遺伝子と、神経内分泌マーカー分子、神経内分泌特異的転写因子の発現との関連性について詳細なデータを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた遺伝子導入細胞をマウス移植実験に展開し、class III/IV POU遺伝子導入により、どのような形態学的、免疫組織化学的変化が肺癌細胞にもたらされるのかを明らかにしていく。また複数のclass III/IV POU遺伝子導入、あるいは他の神経内分泌特異的転写因子を共導入することにより、非神経内分泌肺癌細胞から神経内分泌細胞への形質転換を試みていきたいと考えている。
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