研究課題/領域番号 |
24590428
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
矢澤 卓也 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50251054)
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研究分担者 |
藤原 正親 杏林大学, 医学部, 講師 (20407026)
佐藤 華子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (60438132)
原 由紀子 杏林大学, 医学部, 講師 (40313267)
下山田 博明 杏林大学, 医学部, 講師 (60381472)
菅間 博 杏林大学, 医学部, 教授 (10195191)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 肺癌 / 神経内分泌癌 / 小細胞肺癌 / 大細胞神経内分泌癌 / カルチノイド腫瘍 / 分化形質 / 転写因子 / POU |
研究実績の概要 |
前年度までの検討により、幼若な神経形質を有する小細胞肺癌においては、神経分化に関与するといわれているclass III/IV POU転写因子を特異的に発現していること、7種のclass III/IV POU転写因子それぞれは他のclass III/IV POU転写因子を誘導すること、また7種のclass III/IV POU転写因子のうちPOU3F4およびPOU4F2が最も強い誘導能を有することが明らかになった。これらの結果は大細胞癌株を用いて得られたものであったため、腺癌株においても同様の現象が惹起しうるかについて更に検討を行った。その結果、A549やH358(いずれも肺腺癌株)においては大細胞癌株に見られたclass III/IV POU転写因子遺伝子導入による神経内分泌形質の誘導が惹起されないことが判明した。このことから、ある程度分化方向の定まっている肺癌細胞にはclass III/IV POU転写因子による形質転換を抑止するメカニズムが存在している可能性が示唆された。 次に、大細胞癌株にclass III/IV POU転写因子を強制発現させることによる神経内分泌形質の誘導が、形態変化にまで現れているか否かについて、マウスへの移植腫瘍を作成して検索した。その結果、癌細胞胞体の紡錘状変化、癌胞巣周囲の柵状核配列やロゼット形成など、神経内分泌分化に特徴的な形態像を示すまでには至っていないことが明らかになった。今後更なる検討が必要と思われる。 また、低~中悪性度を示す肺カルチノイド腫瘍におけるPOU3F2 (class III POU転写因子の1種)の発現についても検討を行った。その結果、肺カルチノイド腫瘍にもPOU3F2を発現するものが存在することを、世界に先駆けて明らかにした。
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