研究実績の概要 |
Sessile serrated neoplasia pathwayのpremalignant,intermediate,advanced lesionにおけるmicroRNA (miR) 20a,21,93, 181b発現を検討し,発癌過程におけるそれぞれの特有の変化の有無を解析することを目的とした.対象:Sessile serrated adenoma/polyp (SSA/P) 25病変,粘膜内癌合併SSA/P (SSA/P-HD) 19病変,粘膜下層浸潤癌合併SSA/P (SSA/P-CA) 13病変,正常大腸粘膜10サンプルの合計67サンプルを対象とした.方法:ホルマリン固定・パラフィン包埋材料からのRNA を抽出し,real-time PCR法によりmiR20a, 21, 93, 181b発現の比較解析を行った.結果① miR20a,93,181bは,SSA/P,SSA/P-HD,SSA/P-CAと癌化の進展に伴って段階的それらの発現が低下したのに対し,miR21は逆に段階的に発現が亢進した.② miR20aはSSA/P,SSA/P-HDは正常大腸粘膜と発現の差がなかったが,SSA/P-CAは正常粘膜よりも有意に発現が低下した.③ miR21はSSA/P,SSA/P-HD,SSA/P-CAはいずれも正常粘膜よりも有意に発現が亢進していた.④ miR93はSSA/P,SSA/P-HD,SSA/P-CAのいずれも正常粘膜との発現の差異は認められなかった.⑤ miR181bはSSA/Pでは正常粘膜よりも有意に発現が亢進していたが,SSA/P-CAは正常粘膜よりも有意に発現が低下した.小括:Sessile serrated neoplasia pathwayにおいてmiR20a, 93, 181bは同様の変化を示すのに対し,miR21はそれらに相反する変動を示したことから,この発癌過程では2つのグループのmiRの異なる調節機構が関与するものと推定した.
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