研究課題/領域番号 |
24590433
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
増田 しのぶ 日本大学, 医学部, 教授 (20276794)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 乳癌 / ミトコンドリアDNA / クロナリティ / 細胞系譜 / 再発 |
研究概要 |
本研究は、最終的に乳癌の発生進展過程の解明および治療の適正化に貢献することを目標としている。平成24年度は、mtDNA-DL領域変異解析の方法論としての妥当性を検証することを目的として、以下の検討を行った。 材料:ヒト正常組織(同一個体の左右乳腺)、リンパ節組織の10%ホルマリン固定、パラフィン包埋切片。 対象:乳腺部分切除後、同側乳房内乳癌発生例あるいは、両側乳癌症例。 方法:①Laser Microdissection法:乳癌細胞と正常乳腺組織及び非腫瘍組織(腋窩リンパ節)から各2000個ずつ採取した。②DNAの抽出:分離採取した組織片よりDNAを抽出した。③mtDNA-DL領域 (16045~60, 566bp)を増幅した。④PCR産物の塩基配列解析:PCR産物を電気泳動後、DL1(302bp)、DL2(395bp)のバンドを切り出し精製し、direct sequence法により塩基配列を解析した。⑤分子系統樹作成:得られた塩基配列より平均距離 (UPGMA)法による分子系統樹を作成し比較検討した。 結果:①同側乳房内乳癌発生例の初回手術時乳腺組織と、再発時乳腺組織との間での塩基配列の相違は0.03%に認められた。②同一個体における左右乳腺間では0.74%、乳腺とリンパ節間では0.93%の塩基配列の相違が認められた。③研究成果は、Br J Cancer. 107:2016-23, 2012に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書提出時に計画した項目1については、前項”研究実績の概要”に記載した。 項目2として、多様性が観察される症例抽出を挙げた。この内容を検討するにあたり、まず、1991~2011年の手術検体2136症例(リストアップ済み)の鏡検作業を順調に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
data baseの構築により、乳癌症例の蓄積を加速化する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
1. 形態学的多様性の有無、免疫組織学的形質の多様性の有無に着目して、乳癌症例の鏡検をすすめる。 2. HER2遺伝子増幅、p53遺伝子変異に関する多様性の有無について検討する。 3.遺伝子変異多様性が観察された症例について、Laser microdissection法によりDNAを抽出し、mtDNA DL領域塩基配列の分子系統樹を作成し、比較検討する。 研究費は、上記1-3を行う上で必要な、免疫染色用試薬、遺伝子変異検出用試薬、direct sequence法による塩基配列決定用試薬に使用される予定である。
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