現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.脈管内及びリンパ節転移腫瘍組織内間質成分の癌増殖・転移における役割の検討:まず、我々の研究が最も先行している乳管癌では、脈管内(リンパ管・静脈)腫瘍組織における腫瘍間質成分が存在するか否か、存在する場合は、その腫瘍間質が脈管内腫瘍組織の進展・転移にどのように係わるのか、明らかとする。 2.異型腫瘍間質線維芽細胞(atypical tumor-stromal fibroblast, ATF)発生要因の検討:乳管癌の原発腫瘍組織において、異型腫瘍間質線維芽細胞の存在が極めて重要であることは既に報告した(Hasebe T, et al. Am J Surg Pathol 2011;35:325-36、Hasebe T, et al. Hum Pathol 2011;42:998-1006)。ATFの発生機序を、腫瘍・腫瘍抑制遺伝子等の発現より検討する。さらに、ATF自身が、増殖因子・受容体、サイトカイン等因子を発現し、癌の増殖・転移に寄与する可能性を調べる。 上記1,2の研究は、国立がん研究センター中央病院症例による研究成果である。H26年度では、埼玉医科大学国際医療センターで手術切除された浸潤性乳管癌を対象とした研究を既に始めている。約200症例を対象とした研究では、国立がん研究センター中央病院症例で得られた研究成果と同様に、FF、異型腫瘍間質線維芽細胞等の腫瘍間質組織形態像、リンパ管腫瘍塞栓異型度並びにリンパ節転移腫瘍核分裂数等は、浸潤性乳管癌患者の再発の指標として有意な予後の指標となる結果を得ている。加えて、新しく、静脈腫瘍塞栓を形成する腫瘍細胞の核分裂像が、極めて有用な組織学的指標となることが判明した。
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次年度の研究費の使用計画 |
所属施設の異動(国立がん研究センターから埼玉医科大学国際医療センター)のため、予定していた研究計画の一部を変更し、抗体などの免疫染色による検討を次年度に行なうこととしたため。 1-4.の検討を継続するとともに、これらより得られたデータの解析を行う。 購入する抗体は、以下のような物を対象としている:c-fos, c-jun, c-myc, Fascin, Skp2, p27, KLF5, HGF/HGFR, FGF/FGFR, PDGF/PDGFR, P-cadherin, N-cadherin, TGF-beta, VEGFR-1,TGF-beta R-II, Smad4, Nestin, c-Jun, CD133, CD166, CD24, CD44等である。
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