研究課題
本研究では,がん細胞おいて多様な発現を示すNK細胞活性化因子NKG2Dリガンド(NKG2DL)に着目し, H24~26年度は,ヒト乳癌におけるNKG2DL発現と腫瘍ストレス関連分子との関連性を検討すると共に,rituximabを用いた抗体治療が標準治療となっているびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)症例におけるNKG2DL間の発現比較および臨床病理学的因子等との関連性について検討した.本年度は,クラスター解析で,有意な相関を認めたULBP1,ULBP2,ULBP5発現に着目し,DLBCL症例を用いた予後解析を行った.無増悪生存期間(PFS)を対象とした解析において,ULBPs低発現群では,それぞれ生存期間の短縮傾向が認められたものの,有意差は得られなかった.そこでこれらULBPsと免疫逃避関連因子(MHC class I, PD-L1)間の関連性の解析を行った. ULBP1発現との間に有意な相関が認められたPD-L1(p=0.003)について,サブグループ解析を行ったところ,PD-L1陽性群において,ULBP1低発現群で有意な期間短縮が認められ(p=0.049),さらにMHC-class I陽性群においても,ULBP1低発現群で有意な期間短縮が認めらた(p=0.043).また昨年度の検討において,ULBP1,ULBP2,ULBP5と有意な発現関連性を認めたBCL6について,これら分子の転写制御の関与が推定されたことから,DLBCL細胞株を対象にBCL6のノックダウン解析を行ったところ,ULBP1の発現低下は認められたものの有意差は認められなかった.以上の結果よりMHC class IやPD-L1を高発現しているrituximab既治療DLBCL症例では、ULBP1の発現低下は予後不良因子となり得ることが明らかとなり,治療効果予測との関係性も想起させる結果となった。
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