研究課題/領域番号 |
24590442
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三木 康宏 東北大学, 災害科学国際研究所, 講師 (50451521)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 癌微小環境 / 線維芽細胞 / 肺癌 / 乳癌 |
研究概要 |
肺癌および乳癌組織(各10例)から線維芽細胞用の間質細胞(fibroblastic stromal cells:FSC)を分離し、培養実験に用いる準備を行った。肺癌FSC(2株:LK1S、LK2S)と肺癌培養細胞A549とRERF-LC-OKを用い、共培養による癌培養細胞の増殖を検討した。結果、A549とRERF-LC-OKの増殖はLK1SとLK2Sそれぞれとの共培養によっていずれの細胞も有意に増加した。また、血清を含まない(FBS-Free)条件下でA549を培養すると、small-cell fraction(細胞死)の細胞数が増加するが、この細胞死はFSCとの共培養によって有意に抑制された。FBS-Free条件下で、さらにA549の増殖経路をReceptor tyrosine kinases(RTK)リン酸化抗体アレイにて検討した結果、複数のRTKのリン酸化が確認できた。一方、乳癌培養細胞を用いた検討では、乳癌FCS(BK1S)と乳癌培養細胞MCF-7との共培養を行った結果、肺癌と同様にMCF-7の細胞数はBK1Sの存在によって有意に増加した。またBK1Sから分泌されるサイトカインを抗体アレイにて解析し、MCF-7との共培養によるサイトカイン発現プロファイルの変動を確認した。結果、MCF-7と共培養することによってBK1Sサイトカイン発現プロファイルは変動し、特にFGF-4およびEGFの発現が増加した。以上の結果から、癌細胞と間質細胞の相互作用にサイトカイン(間質細胞側)とRTKシグナル(癌細胞側)が重要な役割を担っていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺癌および乳癌組織由来のFSCをそれぞれ準備することができた。また、癌細胞/間質細胞相互作用を観察する手段(細胞増殖、RTKシグナル、サイトカイン分泌)を確立することができ、平成24年度の計画を全うすることができた。一方、血管新生への影響に関する検討については、現在準備段階にあり、平成25年度にむけての手技は整っている。当初の予定を超えた研究成果を得ることができたが、さらの間質細胞のバリエーションを増やした検討が必要なため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の成果について、さらに間質細胞のバリエーションを増やした検証を行う。また、血管新生に関する検討を順次、進めていく。培養細胞を用いた検討では定量的PCRを用いた解析を行い、これらの検討結果を踏まえて、当初の計画通りにマウス移植モデル実験へと展開する。
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次年度の研究費の使用計画 |
経過のとおりに、培養細胞解析/血管新生の検討のための消耗品、動物実験に関わる消耗品にそれぞれ使用する。また、得られた成果を積極的に公表するために、学会発表に関する旅費他に使用する。
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