本研究では、胃がんの組織内特異性をエピジェネティックな面から解析した。ヒト胃がんの解析ではヒストンH3K4メチル化に関わるSET7/9の発現低下が認められ、組織内でもその発現が異なっていた。更にSET7/9は細胞分化関連遺伝子群の発現を調節し、がん抑制的機能を持っていた。またp53/E-cadherinノックアウトマウスの胃がん組織よりTwist1の発現が異なる胃がん細胞株を樹立した。Twist1発現はDNAメチル化、ヒストン修飾および転写因子Sp1の複合的エピゲノム変化によって制御されていた。以上、がんの組織内多様性にはエピジェネティックな遺伝子発現制御が関与している可能性が示唆された。
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