ERO1-Lαは正常組織と比較し、腫瘍細胞、特に大腸癌細胞株や膵癌細胞株において高発現していた。ERO1-Lαは小胞体常在の酸化酵素として、種々の細胞表面分子や分泌蛋白質のジスルフィド結合形成に重要な役割を果たしている。本研究では低酸素環境にあるがん細胞において、ERO1-LαはMHC class I分子内のS-S結合形成に必須の酸化酵素であり, その品質管理及び発現制御を行っていることを示した。低酸素環境下でのERO1-Lα発現増強は、癌の特徴的な細胞周囲環境である低酸素環境下におけるMHC class I分子の発現維持に寄与していると考えられる。
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