研究概要 |
本研究において、新規がん幹細胞特異抗原分子である、Olfactory receptor, family 7, subfamily C, member 1 (OR7C1) およびDnaJ (Hsp40) homolog, subfamily B, member 8 (DNAJB8) の解析を進めている。OR7C1およびDNAJB8共に、新規癌精巣抗原の一つでもあり、免疫療法の標的分子として期待される。平成24年度において、OR7C1 およびDNAJB8が免疫療法の標的分子となりうるか、日本人に最も多いタイプのmajor histocompatibility antigen (MHC)である HLA-A24 結合モチーフを有する抗原ペプチドをデザインした。また、同ペプチドを用いてペプチド特異的な細胞傷害性T細胞(CTL)誘導に成功した。ペプチド特異的CTLから、限界希釈法を用いてOR7C1特異的CTLクローンおよびDNAJB8特異的CTLクローンを樹立した。がん幹細胞で内在性に発現するOR7C1およびDNAJB8タンパクががん幹細胞でも提示されているか検討する為に、ヒト大腸がん細胞株 SW480, HCT15, HT29 からside population (SP)細胞として大腸がん幹細胞を分離した。OR7C1およびDNAJB8特異的CTLクローンは非SP細胞と比較してSP細胞細胞を有意に認識した。この結果は、化学療法や放射線療法に耐性を示し、臨床上問題となっているがん幹細胞は、CTLの標的となる抗原分子を発現し、同抗原分子を用いてCTLを活性化することにより、がん幹細胞を有意に傷害出来ることを示す結果であった。
|