研究課題
本研究期間内に、ヒト大腸がん、卵巣がん、子宮頸がん、肺がん、前立腺がん、膀胱がんなどの細胞株より、Side Population (SP)法、Aldefluor法、sphere 培養法等を用いてがん幹細胞を分離した。がん幹細胞における遺伝子発現プロファイルをcDNAマイクロアレイを用いて包括的解析を行った。その結果、がん幹細胞にはOR7C1, DNAJB8, BORISなど多くのがん精巣抗原分子が発現することを見出した。精巣は正常臓器の中でも、HLAクラスI分子の発現が見られない特殊な「免疫特権臓器」であり、がん精巣抗原は免疫原性の高いがん抗原分子として知られる。そこで、がん幹細胞に発現するがん精巣抗原ががん幹細胞標的免疫療法の標的分子になりえるか検討した。OR7C1, DNAJB8, BORIS にコードされるHLA-A2 もしくは HLA-A24 結合候補配列を検索し、ペプチドを合成した。同ペプチドを用いて、HLA-A2 陽性ドナーもしくはHLA-A24陽性ドナーから細胞傷害性T細胞(CTL)誘導を試みた。その結果、OR7C1にコードされる HLA-A24拘束性ペプチド、DNAJB8にコードされる HLA-A24拘束性ペプチド、BORISにコードされるHLA-A2拘束性ペプチド同定に成功した。また、これらのがん精巣抗原特異的CTLは、がん幹細胞を有効に傷害することを確認した。これらの結果は、がん幹細胞に発現するがん精巣抗原分子群は、治療抵抗性がん幹細胞標的免疫療法を確立する上で、期待される標的抗原であることが示唆された。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
Anticancer Res
巻: 35 ページ: 413-8
Cancer Sci
巻: 105 ページ: 389-395
10.1111/cas.12362
Methods Mol Biol
巻: 1139 ページ: 345-55
10.1007/978-1-4939-0345-0_28
Cancer Immunol Res
巻: 2 ページ: 1220-9
10.1158/2326-6066.CIR-14-0101
Lab Invest
巻: 94 ページ: 1355-69
10.1038/labinvest.2014.122