研究課題/領域番号 |
24590450
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
藤井 澄 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (60284189)
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研究分担者 |
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
千原 良友 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40405395)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ヒストン / リジンカルボキシメチル化 / H3ヒストンK27 / トリメチル化 |
研究実績の概要 |
前年度まで抗カルボキシメチル化H4ヒストン抗体を用いた検討を行ってきたが、H4ヒストンのエピジェネティクスへの影響が限局的なものである可能性を考慮し、本年度は、アセチル化のみならず、メチル化~トリメチル化により発現調整に関与することが知られているH3ヒストンK27に対する抗カルボキシメチル化H3ヒストン抗体を作成し、検討を行った。 まず、グローバルなH3K27のトリメチル化を抗カルボキシメチル化剤であるメトホルミン処理によりT24細胞株で検討すると、メトホルミン処理によりEHZの発現は軽度増加し、トリメチル化は10倍以上に増加した。p16についてChIPアッセイで検討しても同様にトリメチル化の増加する結果が得られた。これに対し、酸化ストレス・ドナーであるグロキサール処理を行うと、H3K27のアセチル化が増加した。一方、エピジェネティックな発現抑制に一般的に用いられる5-AZA処理を行うとH3K27のジメチル化とアセチル化が増加した。これらの変化の際におけるH3K27のカルボキシメチル化は、メトホルミン処理・グロキサール処理では軽度減少、5-AZA処理ではほとんど変化は認められなかった。 一方、p16プロモーターのCpGメチル化を検討するとメトホルミン処理・グロキサール処理ではほとんど変化は見られなかった。 これらの結果から、CpGメチル化が維持されている状況ではカルボキシメチル化による発現修飾の影響は限定的である可能性が示唆された。また、カルボキシメチル化が解除されたときにリジン残基に生じる新たな修飾について何らかの法則があるかどうか、今後の検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、申請時の予想とと異なり、判断が難しい実験データが出ており本年度はそれに対して新たな研究標的としてH3ヒストン・リジン27の修飾を標的とする計画の変更を行った。しかし、その結果、H3ヒストン・リジン27のトリメチル化、ジメチル化、アセチル化などの修飾と修飾に影響を与える因子との関連から、27年度につながる新たな展望が開けており、その意味で順調な伸展と見なされる。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要で述べたように、CpGメチル化とヒストン・リジン残基のカルボキシメチル化の関係、および、カルボキシメチル化解除後のリジン残基修飾における法則の検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度作成した抗体により、本来は網羅的なChIPアッセイを行う予定であったが、抗体納品時期が遅れたため27年度に行うこととなった。助成金の持ち越し分はこの網羅的ChIPアッセイに必要な経費である。
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次年度使用額の使用計画 |
理由で述べたように、実施が遅れている網羅的ChIPアッセイに助成金の持ち越し分を使用する予定である。
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