研究課題/領域番号 |
24590452
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
吉田 功 北里大学, 医学部, 講師 (90316943)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | olfactmedin 4 / 潰瘍性大腸炎 / 発癌 / 炎症 / 炎症性腸疾患 |
研究概要 |
本研究課題では、研究代表者の潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis; UC)及び関連腫瘍に対するこれまでの研究の結果から、UCの継続的炎症抑制が関連腫瘍発生抑制に極めて重要であるという前提に基づき、UC患者大腸粘膜組織における遺伝子発現プロファイルの網羅的解析によって、非活動性UC患者及び健常者粘膜に比して活動性UCで有意に発現上昇する分子として同定したolfactomedin4(OLFM4)の解析を行うものである。本研究では、上記実験結果を発展させ、UCにおけるOLFM4発現誘導機構とその機能解析を通じて、UC特異的なバイオマーカーとしての可能性を明らかにするとともに、UCの抗炎症・抗腫瘍発生の治療標的としての可能性を追求する。 平成24年度では、研究計画に基づき、(1) OLFM4発現解析-1: OLFM4発現のUC特異性、(2) OLFM4発現機序解析を行った。(1)では、OLMF4発現は、UCの炎症活動性と密に相関することを明らかにし、クローン病、虚血性腸炎、アメーバ腸炎、過敏性大腸炎と比較しても有意に高発現することが明らかとなった。特に炎症性腸疾患内でクローン病との差異が認められたことは興味深い。(2)ではLPS刺激によるNF-kB核内移行に伴ったOLFM4発現誘導や、抗TLR中和抗体によるTLR抑制による、その発現誘導抑制を確認し、また、OLFM4のプロモータアッセイによるNF-kBによるOLFM4発現誘導を確認した。これらにより、UC炎症巣においてNF-kB亢進によるOLFM4発現誘導が改めて確認され、それは腸内細菌叢の変化によるものであることが示唆された。 次年度以降は、さらに解析を進め、UC特異的バイオマーカーとしての可能性、及びOLFM4発現と腫瘍発生機序の関連を明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書内の研究計画に概ね則った進展が得られており、上記の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
(3)OLFM4発現解析-2: バイオマーカーとしての可能性. 潰瘍性大腸炎患者血清におけるOLFM4あるいは抗OLFM4自己抗体の検索を行い、バイオマーカーとしての可能性を探る。 (4)OLMF4機能解析: OLFM4のアポトーシス抑制機能. OLFM4発現亢進とUC関連腫瘍発生の関連を探るため、OLFM4の機能解析を進める。pro-apoptosis分子GRIM-19をOLMF4が抑制することを明らかにする(分子局在、TUNEL法、RNAi)。 (5)NF-kB - OLMF4阻害に腸炎発症・発癌抑制効果. 培養細胞を用いたDHMEQ等のNF-kB阻害剤のOLFM4発現抑制効果の検証。DSS腸炎マウスにおける上記NF-kB阻害剤の腸炎抑制効果。 (6)NF-kB系以外のOLMF4発現誘導系の検討. Notch1によるOLFM4発現誘導系の検証など。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の研究進展が順調に進んだため、消耗品消化が見込みよりも減少したこと、プロモーターアッセイが一部H25年度にずれ込んだことなどにより、次年度使用研究費が生じた。 H25年に上記研究が進むことにより、当初計画通りの研究費消化が見込まれる。
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