研究課題/領域番号 |
24590454
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
鹿 智恵 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10408453)
|
キーワード | 肺がん / 遺伝子 |
研究概要 |
本研究は、原発性肺がんを対象とし染色体領域にあるマーカーを用い、マイクロサテライト解析を行うことで、肺がんの発生・進展に関連する染色体領域から責任遺伝子を探し出すことを、最終目的とする。外科手術例から遠隔転移を伴わない肺がん220症例および病理解剖例から遠隔転移を伴う進行型肺がん40症例(180病変)を対象とし、各組織型の肺がん組織標本からがん部・非がん部組織を選び核酸抽出を行い遺伝子解析を行った。平成25年度はサンプルを収集しつつ遺伝子解析を行った。既にDatabaseに登録されている情報を参照し、肺がん患者においてinformative markerを選出し、肺がんの発生と関連する染色体領域が8番短腕であることを見出した。そして、当該候補染色体領域8pに存在するMTUS1を含む幾つかの候補遺伝子を選出し遺伝子解析まで行った。一部の肺がん症例において、シークエンス解析を行った結果、何れの遺伝子においても有意な突然変異がないことが判明した。現在はMTUS1の機能に関連するmRNAの発現およびタンパク質の発現を検討している。 一方、肺がんの発生においては多種類の遺伝子が関わる多段階発がん説が想定され、また病理学的には多彩な組織像を呈することから、中枢気道、末梢気道および肺胞のそれぞれを構築する上皮を母細胞として肺がんが発生し得ると考えられている。我々は4番染色体に存在する遺伝子PROM1に着目し、様々な人体材料を用いて研究を進めている。外科手術により得られた原発性肺がん113症例を対象とし、PROM1タンパク質の発現変化を検討した。その結果、肺がん細胞においてPROM1タンパク質の発現が認められたのは113症例中29例の26%であった。一方、進行型肺がんにおいてもほぼ同程度の割合であった。一部の結果を第102回日本病理学会総会で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、十分な予備実験を行った結果に基づき開始した課題である。前年度に報告したように、冷凍庫の故障により以前から蓄積していた100症例のサンプルが使用できなくなってしまった。そのために、今年度はサンプルを収集しながら解析を行う方針に変更した。全体として当初の計画よりやや遅れているが、実験は着実に進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
遅れを取り戻すために、 (1)新たに収集したサンプルを用い、候補遺伝子の検索を引き続き行う方針である。 (2)さらに、最新情報に基づき、既知の遺伝子を含む候補遺伝子の解析を同時に行う予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成26年度は、今年度に引き続き、新たに収集したサンプルの遺伝子解析とタンパク質の発現解析を同時に行っていく予定である。 次年度の研究費は、主に試薬購入と研究成果の発表に使う予定である。
|