研究課題
前年度までに漿膜弾性板を越えた大腸癌の浸潤は予後と強く相関し、この所見を判定することは現状のステージ分類を改善し、術後の治療に影響を与えうる事を報告し (Kojima M et al. Am J Surg Pathol 2010 and 2014)、海外を含めて報告することで、国際的なコンセンサスを得つつある (Liang WY et al. Modern Pathol 2015)。さらに我々は漿膜弾性板を越えた大腸癌の浸潤により、線維化、腫瘍の budding、マクロファージの浸潤を伴う特殊な微小環境 (Cancer microenvironment formed by peritoneal invasion: CMPI)が形成され、漿膜由来の線維芽細胞 (SPF)がCMPIの形成及び腫瘍の進展に関わることを報告した (Kojima M, et al. PLoS ONE 2014)。本年度は 1: CMPIの形成と広がる過程を予測する目的で臨床病理学的検討を施行した。2: 前年度までにSPFが腫瘍の刺激により多彩な反応を示すことが判明したため、その中に腫瘍促進に働く分子が存在すると考え、SPFの網羅解析情報から悪性度マーカーを抽出する試みを施行した。1: 腫瘍が漿膜弾性板を越えて、CMPIが形成され、広がるにつれて、漿膜弾性板が腫瘍側に引き寄せられることが判明した。患者の予後は漿膜弾性板を越えた際に悪くなるが、漿膜弾性板が腫瘍側に引き寄せられても変化がなかった。一方で漿膜弾性板が腫瘍側に引き寄せられると、腫瘍の硬度が増し、イレウス症状が出現する頻度が高くなることが判明した (Yokota M et al. Cancer Sci 2015)。2: がん培養上清で刺激したSPFの分子発現情報を 公開されている大腸がん患者組織の網羅解析情報に導入して、SPFの分子発現の特徴で分類すると、SPFと類似した分子発現情報を有する患者の予後は悪いことが判明した。がん培養上清で刺激したSPFで上昇する分子と予後を解析した結果、新たに TAGLIN等複数の間質に発現する予後マーカーが検出された。今後これらの機能解析を行っていく予定としている。
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